母親は口元に手をあて、驚く。妃月も同様に驚いたが頭の中でパーティーのことを思い出す。
美男美女のカップルは確証はないが、おそらく花京院の次男とその婚約者。年齢は妃月より年上だった。
花京院頼利といた頼朝は16……。
その時点でおかしいとなぜ気付かなかったのか……。
椿が頼久を見送りに行ったのを追いかけた。
すでに頼久の姿はなく、椿の幸せそうな顔。
妃月は椿を平手打ち。
「あんた頼久様が花京院の方だと隠してたわね!」「いいえ、私は先程知りました」
「嘘おっしゃい!私が頼久様が好きだって知って奪ったのね!」
「そうよ。だから諦めなさい。あんたが花京院家に相応しくないってわかるでしょ?」
「…………」
下を向く椿。
(ほら、あんたは下を向いてコソコソ生きていけばいいの。私のお父様を誘惑した穢らわしい母親の娘なんだから…いい気味)
「頼久様が私でいいと仰いました。頼久様の隣で恥をかかせぬよう努力をする覚悟です!」
顔を上げ、今にも泣きそうな顔をしながら妃月に反論する。
(……っ!)
妃月は椿の腕を強く握り、お仕置き部屋へ連れていこうとする。
「お母様、こいつは私が頼久様が好きなのを知りながら、私から頼久様を奪ったそうですわ!」
「そうなの?」
「はい!本人が白状しました」
「………ちが……ぅ……っ……」
腕を強く引っ張られ痛みから声がうまくでない。
林檎のキーホルダーが椿のポケットから落ちる。
「あっ」
拾おうとするが先に母親が拾う。
「なにかしら?」
「か、返してくださいっ!……これはお母様に買っていただいた……あ。」
椿の母親を口にした途端、妃月の母親は鬼の形相に変わる。
「まだあの女の物があったのね…」
母親はキーホルダーを力強く握りしめる。
椿がこの汐倉家に来た頃、形見の椿の母親の物は全て捨てられ、残っていたのは林檎のキーホルダーのみで椿は見つからないように大事に持ち歩いていた。
妃月の母親は中庭にキーホルダーを投げ捨てる。
中庭は広く、夜も遅いので見つけるのは困難だと椿は膝から崩れ落ちる。
明日、明るくなってから探すべきだが、これからお仕置きされるなら数日監禁されることもある。
「…………」
「あら可哀想。頼久様を諦めることと私に口答えしたことを土下座するなら一緒に探してあげるけど、どうする?」
「妃月、汚れるからやめなさい」
「…私……な……です!」
椿は小さく呟く。
「…頼久様が…私を捨てるなら…仕方ないです……でも…頼久様は物じゃないっ!……どうするかは頼久様が決めることです!」
椿は叫びながら中庭に走る。
「花京院がバックにいるから強気になっちゃって生意気!」
「……またあの女の物を隠し持ってるかもしれないわ。椿の荷物を全て灰にしてやりましょう」
「お母様、ナイスアイデアですわ〜」
妃月と母親はクスクスと笑い、古株の使用人たちに指示をだす。
「なんの騒ぎだね」
父親が風呂から出てきたのか、やってきた。
「あの汚物が妃月の想い人を奪ったそうですよ。本当に母親そっくりで穢らわしいわ」
「…………そうか」
父親は椿を一瞥し、可笑しそうに笑う妃月たちを横目に自室へ戻ろうとした時、やけに早い足音が近づく。
美男美女のカップルは確証はないが、おそらく花京院の次男とその婚約者。年齢は妃月より年上だった。
花京院頼利といた頼朝は16……。
その時点でおかしいとなぜ気付かなかったのか……。
椿が頼久を見送りに行ったのを追いかけた。
すでに頼久の姿はなく、椿の幸せそうな顔。
妃月は椿を平手打ち。
「あんた頼久様が花京院の方だと隠してたわね!」「いいえ、私は先程知りました」
「嘘おっしゃい!私が頼久様が好きだって知って奪ったのね!」
「そうよ。だから諦めなさい。あんたが花京院家に相応しくないってわかるでしょ?」
「…………」
下を向く椿。
(ほら、あんたは下を向いてコソコソ生きていけばいいの。私のお父様を誘惑した穢らわしい母親の娘なんだから…いい気味)
「頼久様が私でいいと仰いました。頼久様の隣で恥をかかせぬよう努力をする覚悟です!」
顔を上げ、今にも泣きそうな顔をしながら妃月に反論する。
(……っ!)
妃月は椿の腕を強く握り、お仕置き部屋へ連れていこうとする。
「お母様、こいつは私が頼久様が好きなのを知りながら、私から頼久様を奪ったそうですわ!」
「そうなの?」
「はい!本人が白状しました」
「………ちが……ぅ……っ……」
腕を強く引っ張られ痛みから声がうまくでない。
林檎のキーホルダーが椿のポケットから落ちる。
「あっ」
拾おうとするが先に母親が拾う。
「なにかしら?」
「か、返してくださいっ!……これはお母様に買っていただいた……あ。」
椿の母親を口にした途端、妃月の母親は鬼の形相に変わる。
「まだあの女の物があったのね…」
母親はキーホルダーを力強く握りしめる。
椿がこの汐倉家に来た頃、形見の椿の母親の物は全て捨てられ、残っていたのは林檎のキーホルダーのみで椿は見つからないように大事に持ち歩いていた。
妃月の母親は中庭にキーホルダーを投げ捨てる。
中庭は広く、夜も遅いので見つけるのは困難だと椿は膝から崩れ落ちる。
明日、明るくなってから探すべきだが、これからお仕置きされるなら数日監禁されることもある。
「…………」
「あら可哀想。頼久様を諦めることと私に口答えしたことを土下座するなら一緒に探してあげるけど、どうする?」
「妃月、汚れるからやめなさい」
「…私……な……です!」
椿は小さく呟く。
「…頼久様が…私を捨てるなら…仕方ないです……でも…頼久様は物じゃないっ!……どうするかは頼久様が決めることです!」
椿は叫びながら中庭に走る。
「花京院がバックにいるから強気になっちゃって生意気!」
「……またあの女の物を隠し持ってるかもしれないわ。椿の荷物を全て灰にしてやりましょう」
「お母様、ナイスアイデアですわ〜」
妃月と母親はクスクスと笑い、古株の使用人たちに指示をだす。
「なんの騒ぎだね」
父親が風呂から出てきたのか、やってきた。
「あの汚物が妃月の想い人を奪ったそうですよ。本当に母親そっくりで穢らわしいわ」
「…………そうか」
父親は椿を一瞥し、可笑しそうに笑う妃月たちを横目に自室へ戻ろうとした時、やけに早い足音が近づく。



