勤怠のスイッチを押してすぐのこと。咲也は見慣れた店内が装飾されてるのを見て、感嘆の声をあげた。
「すごい! 店内もクリスマスだ!」
入口から始まり、客席は勿論、キッチンにいたるまで赤と緑に染められている。メニューは少し前から帰られていたが、店内装飾が追い付いたのはつい最近のことだった。
希望者は制服にちょっとした装飾の用意もあり、当然のごとく咲也はそれを手にする。業務には邪魔にならない程度のクリスマスモチーフのコサージュだ。
「ほれ、お前もつけろ」
「いや、俺はいいです」
「いいから。男で俺だけつけてたら嫌だろ」
「えぇ……」
つけてやるから、と言って隣にいた葵のネームプレートに手を伸ばす。クリップ式になっているので、服に穴を開ける心配もなかった。
「咲也さん、クリスマス好きなんですか?」
文化祭を期に変わった呼び名に、未だ若干の緊張を覚える。初めて呼ばれた時もそうだったが、誰が呼ぶでもない、葵に呼ばれる時はなぜだか特別な気がしていた。
ロッカーに私物をしまいながら、バイトの共有ノートに目を通すフリをしてそんな気持ちを誤魔化した。
「クリスマスに限らず、俺の家がイベント好きなんだよね」
「へぇ。うちは全然やらないんで羨ましいです」
「まぁ、今年のクリスマスは俺と妹のテストの結果にもかかってるけど」
いつだったかの雑談の際に話題にあがり、咲也に妹がいることは葵も知るところだった。3歳差の紫野兄妹は毎度受験がかぶってしまい、親が大変だなんだと話し、実は葵も弟がおり受験期が被ることが発覚した。といっても、柴野兄妹と船岡兄弟では受験の重みが違うだろうことは、咲也もひしひしと感じていたが。
「でも、今年はちょっと自信あるんだよな。お前のおかげで」
「俺はなにもしてないですけど、咲也さん、家でも復習してきてくれるから」
「お前、俺を甘やかしすぎだろ」
他愛もない会話をしながら、一緒に勤怠を切る。退勤する昼間のスタッフと声をかけあいながら、入れ替わるようにして店内に出た。店内は落ち着いた様子で、ホールスタッフも事足りている。2人はキッチンに入り、皿洗いやら明日のしこみといった雑用をこなし始めた。
本来葵はキッチン担当ではないため、もうしばらくすればホールに駆り出される時間になる。その前に何か言いたいことがあるのか、ちらちらと様子をうかがう視線が咲也に刺さる。
「葵、言いたいことがあるなら早く言え」
「き、気づいてましたか」
「あんだけ見られれば」
食洗器かけられた皿を重ねながら、葵が唸る。よほど言い出しづらいことなのか、口をもごもごと動かしては止めるのを繰り返し、やっとと言えるタイミングで本題を切り出した。
「咲也さんに、お願いがあって……」
「お願い? 別にできることなら全然いいけど」
珍しいと、咲也は心の中で零した。
普段から、咲也の望みをなんでも叶えたいといわんばかりに優しい葵だったが、逆の要求はこれまでもなかなかない。文化祭にこないでほしい、というのはあったが、あれは話の流れだったのでカウントできないだろう。
「あの、俺も勉強の目標みたいのが欲しくて」
「目標……つ! 悪い! そうだよな、俺に教えてたらお前が勉強できないよな!」
「あ、それは別に。俺、テストのためにあえて勉強とかはしないので」
罪悪感が一瞬にして嫌悪感に変わる。
実際に聞くのは初めてな天才の発言に、咲也は眉を寄せた。
「じゃあなに」
ぶすくれたように言う姿に、葵が小さく”かわいい”と漏らす。いちいち反応していたらきりがないので、既にスルーを決め込んでいた。
「勉強の目標というより、ご褒美がほしい、みたいな」
「ご褒美? 何がほしいんだ?」
「クリスマス」
「は?」
「クリスマス、一緒に過ごして欲しいです。勿論2人で。俺がいい点とれたらご褒美に」
クリスマス。
一緒に過ごす。
2人で。
一般的にそれは、恋人たちのデートという。
さすがの咲也も葵が言わんとすることがわかり、動揺して持っていたフライパンを落としそうになった。熱がせりあがってくるのを感じ、誤魔化そうと葵から視線を逸らすも、脳内には”恋人たちのクリスマス”という言葉が離れない。まだ恋人たちでもないくせに。
「そ、それは」
「クリスマス当日なんて烏滸がましいこといわないので、いつでも」
悪い意味ではない、気まずい空気が流れる。文化祭での事件以来、2人の間には時々こうした雰囲気があった。全ては、答えを出さない咲也のせいともいえたが。
「いや、別にイブも当日も予定はない、けど……」
「本当ですか!」
明らかに”嬉しい”と表情に出す葵に、葵がいじらしいメーターがバタバタと揺れる。咲也は、クールで不愛想なこの年下の、時折みせる少年のような振る舞いに弱いらしかった。
「咲也さんも赤点回避して、俺も点数良かったら、とか」
「……お前、前回は何位だったんだよ」
点数では分かりづらいと伝えれば、葵の視線が気まずそうに横にずれる。
「前回は、お、お恥ずかしながら、35くらい……」
「全然恥ずかしくないわ!!」
店内に響かない程度に意識しつつも、それなりの大声が出た。
昨月立花高校に赴いた時、1年生は8組程あった。大体の規模感でいえば1学年250から300人程はいるだろう。その中で上澄みだと叫ぶ。
前回より順位があがってれば、なんて軽いことを言おうとした咲也は、それでは自分が楽しみにして簡単な目標を設定したようではないかと立ち止まった。なんだかそれは、非常に恥ずかしいことのような気がしたのだ。
「じゅ、15位! お前が15位以内に入れたらいいぞ!! どれか一教科でも!!」
「え」
立花高校は、県内有数の高偏差値高校だ。
15位以内といえばかなりのトップ層であり、難関大学志望者だけが目指す頂なことは容易に想像できる。そんな中で、咲也が出した答えがこれだった。さすがに無理難題すぎるか、と葵を見るが、その顔はヤル気に満ちていた。
「わかりました。俺、頑張ります。だから、大事なクリスマス俺にください」
「目標達成したらな⁉」
「もちろんです」
自分も赤点を取るかもしれないし、さすがの葵も20位以上の順位上げは難しいだろうと高を括る。
「咲也さん、やりたいことありますか?」
「もう目標達成した気でいるのかよ」
「そんなことは…でも、クリスマスだと、予約が必要な所とかもあるし」
お前は一体どこに行くつもりなんだと言いかけるが、昨今のクリスマスは一理ある、と咲也も考える。
ザ・クリスマスといった場所は恋人たちで溢れかえり、男2人では居づらいこともあるだろう。そうはいっても、普通のカラオケやファミレスでは、こんなにもクリスマスを楽しみにしてる葵に悪い気もした。
「せっかくだからケーキ食ったりするか」
「はい!」
そうともなればケーキ屋だが、これまた男2人では中々入りづらい。一瞬喫茶ふなおか、という手も浮かんだが雅が親戚とわかった今、それは物凄いこっぱずかしいだろ、ととりやめた。
「あ~~~俺んちでも来るか? なんちゃ、って……」
さすがにないよなダハハ。そう笑おうとした咲也は、最後まで言葉を発せなかった。
衝撃的だと、そして本当にいいのかと期待に満ちた目で、葵がこちらを見ていたからだ。
「よ、よければお邪魔したいです。咲也さんち」
「た、多分、イイヨ」
お前、楽しみにしてるみたいじゃなくて、楽しみにしてるだろ。内なる咲也が、断らない咲也へとツッコんだ。
+++
「紫野! お前真面目に勉強したんだな!!」
ガハハと古典的な笑い声をあげ、数学教師が答案を返してくる。プライバシーもあったもんじゃない大声に、咲也がいい点数をとったことはクラスの周知となった。
「うそじゃん」
愛想笑いでなんとか逃れ席で薄めで見た点数は、赤点どころか今までにとったことない高得点だった。正解を表す丸が多くをしめ、間違えた所は片手で足りるほどしかない。
「えー! おかしいだろ咲也がこの点数!! せんせ~柴野くんは絶対カンニングでーす」
「いい度胸だな金井」
のしかかるように後ろからやってきた金井が、ゆるく抗議する。教師は軽く笑って流してくれたようで、それも当然、咲也の答案にはびっちり計算式や公式までかかれており、わからない問題も散々粘った後が見て取れた。
「咲也、数学苦手だったじゃん」
「俺が本気を出せばこんなもんよ」
「え~? あ、なるほどね」
ハハン、といったように金井が口角をあげる。
「葵くんに見てもらったんだろ、勉強」
「なんでそれっ」
「図星かよ~! 年下に勉強見てもらうとか、恥ずかしいやつだな」
「うるせー! あいつが教えたいっていったんだからいいんだよ!」
どんな暴論だよ。言った後で、咲也は自分でも後悔した。
今日までに全ての期末テストは返却されており、この数学をもって咲也のクラスはテスト返却が終了となる。咲也は全ての強化で赤点は逃れており、この数学が最後の肝だった。
「赤点、回避しちゃったな……」
「なんで。嬉しくないの」
「嬉しいけど、嬉しいんだけど……」
赤点は回避した。それどころか、数学においてはどのテストよりもいい点数を取ってしまった。それがなんだか、葵とのクリスマスを全力で楽しみにしていたようで、恥ずかしさでいたたまれなかった。
この結果をどう伝えるべきか。うじうじとしていたところで、スマホが軽く振動する。テスト返却で授業どころではないのをこれ幸いと、咲也は画面をタップした。
【楽しみです】
簡潔な文章と続けて送られてきた写真。
個人成績表とかかれたA4のそれには、ズラっと教科や点数、偏差値等の数値が並んでいる。そして一番端に控え目にかかれた値に、咲也は目を見開いた。
「じゅっ!」
何事かと隣の金井が首をかしげる。
葵がよこした画像の数値、一番端の学年順位にはばっちりと”10位”と記載されていたのだった。
+++
「いらっしゃ~い!」
鳴らされたクラッカーに、咲也は額を押え、葵は驚いたように目を点にした。
期末テストやらなんやらと怒涛の学期末を過ごし、つい何日か前に高校は冬休みに突入。その勢いのままに、約束のクリスマスが訪れていた。玄関先で葵を歓迎したのは、咲也の母と妹だ。
「え、えと船岡、葵です」
「咲也の母です~! やだ~すごいカッコイイ子じゃない!」
「妹です!! 沙良です!! よろしくお願いします!!」
「えぇいよろしくせんでいい!」
イケメンを見て騒ぐ母たちを押しのけ、ペコペコと頭を下げる葵を家へとあげる。そのままキッチンへと向かえば、既にクリスマスディナーの準備ができていた。
葵を家に招いた手前、金はかかるがチキンとケーキくらい買って帰るかと思っていた所に苦言を呈したのが咲也の母親だった。どうせなら皆で、と思春期の息子が嫌がりそうな提案をし、さらには葵が了承したものだから、なぜか家族+葵でクリスマス会が行われることになったのだった。
「本当にいいんですか、こんな本格的なクリスマスにお邪魔して」
「いいのよ~!旦那は遅くていつも3人だし、こんなイケメンが食卓に並ぶなんて、目の保養だわ」
「母さん、ほんと、そういうのやめてくれ」
クリスマスディナーなんて大仰な言い方をしたものだが、実際は一般家庭の一般的なクリスマス用の夕食にすぎない。七面鳥もなければ、ローストビーフもない。精々持ち手が装飾された鶏肉だったり、母と妹なりに可愛くセッティングされたテーブルクロスやら食器類だけだった。
「ごめんな。誘っといてなんだけど、まじで普通の家の普通のクリスマスだから」
「そんなことないです! 俺はこんなすごいクリスマスはじめてです」
「大げさな」
「ほんとですよ。俺の家、両親が仕事で忙しいのでイベントはほとんどやらないので」
わくわくした葵の様子に、葵がいじらしいメーターが反応した。
一見クールだが楽しそうなその様子に、母と妹も笑顔になる。バイト先の後輩と自分の家族がクリスマスを囲むってどんな状況だ。そんな風に思いながらも、連れて来てよかったと思えた。
「シャンパン、じゃなかったシャンメリーもあるわよ~」
「あ、自分が開けます」
「なんて親切な子なの! 咲也もこうなりなさい!」
「毎年俺が空けてただろうが!」
母親の反応がいちいち大げさで嫌になる。だが、自分の家族の前で一人称が変わる葵の姿は見ていておもしろかった。
ポンと高い音がなり、シャンメリーが全員分注がれる。
「メリークリスマス!」
母親の音頭に連なって、皆で乾杯をする。
咲也は家族のことは嫌いではない。母親も天然だが優しく、妹は口うるさいが可愛らしい。ここにはいない父も、咲也を”男”らしく育ててくれた尊敬する親だった。その中に葵が違和感なくいることが、なぜだかとても、嬉しい気がしていた。
楽しい食事を終えて渋る母と妹を残し、2人は咲也の部屋へと訪れた。
「ここが俺の部屋。お前来るから片付けたけど、まだふつ~に汚いわ」
たははと笑いながら適当に座るように葵を促す。一応座布団とクッションを用意したものの、葵はいっこうに座る様子がない。
「ど、どうした……?」
「どうしたっていうか」
声が堅く、目つきが鋭くなっている。あぁこれは、と咲也は理解した。
「なんで緊張してんの?」
呆れたように口にすれば、葵は少し拗ねたように咲也を見た。
「本当にわかんないです? それとも、俺が意識されてなさすぎるってこと?」
「意識? お前、何言って——」
何が言いたいのかを理解して、咲也はハっと息を呑んだ。
お互い立ち尽くしたまま、目を反らせない時間が訪れ、部屋が沈黙で満たされる。互いの浅い呼吸音だけが耳につくようだった。
「と、とりあえず、座る?」
「……はい」
自分の部屋だというのに、あまりの緊張で他人の部屋のようにギクシャクしながら腰を下ろす。
「そんなに遠くに座らなくても……」
「ふ、普通だけど」
葵が座った対角線上。クッションもなければ、マットレスも終わっているフローリングに座る咲也は、どう見ても様子がおかしい。自分がこんな空気にしたというのに、葵はそれが気に入らなかったのか突如立ち上がり、咲也の真正面へとしゃがみこむ。
咲也がベッドと机の隙間に座り込んでいたので、唯一の出口である正面を葵に封じられる形になった。
「な、なんで」
「なにがですか」
「だってさっきまで、普通に楽しく飯食ってて、部屋は言った時も緊張しててそんな感じじゃなかったし」
だから油断したんだと、責めるように葵が言う。
「お前、積極的なのか消極的なのかわかんねぇよ。緊張するとかいって照れたりするのに、こういうことできんの、なんでなわけ?」
まるで二重人格で、その切り替えのポイントがわからない。困惑しながらも、恥ずかしがるような咲也につられて、葵の頬にも赤みがさす。
「……好きな人と2人きりは、緊張するけど、傍にいたいから」
「すっ」
好きな人。ダイレクトな言葉に、咲也は顔に熱が集まるのを感じた。初めていわれた言葉でもなんでもない。しかし、何度いわれようが慣れることもなければ、心臓にも悪い。
「手に、触ってもいいですか」
「て」
もはや言葉を繰り返すマシーンと化すが、葵はじっと了承の言葉を待つ。
「さ、触るだけ……?」
「他にもしていいんですか」
「む、無理! 下に親いるし!!」
「そこまでのことはしませんけど」
クスっと笑った姿に”いつもの葵だ”と咲也の緊張も幾分マシになる。了承の返事の代わりに伸ばされた左手に、葵は自分の手を拭いてから恭しく触れてきた。いつだったか、手汗が恥ずかしいといった姿が可愛かったことも思い出される。
可愛い、そんな思いでも束の間に、葵の触れ方はじょじょに変わっていき指先や爪を見たり、節を撫でたりと到底普通とは言えない触れ方で、咲也の手を堪能しはじめた。手というよりも手を通して咲也全体を堪能するようなやり方に、ぐっと歯を食いしばる。
「咲也さんの手、俺、好きです」
「なんのケアもしてない、男の手だよ」
「ちょっと荒れてるのは、咲也さんが率先して荒い物してくれるからです」
お世辞にもスベスベとは言えない手を、愛しむように葵が撫でる。
「ここの火傷の痕も、急にぶつかった子のせいだったのに、咲也さんは”大丈夫”って言って隠しちゃって。俺、かけよりたかったのに、店が忙しくてそれどころじゃなくなって」
「そんなことあったか?」
「ありましたよ。でも、咲也さんはそういうこと、数えきれないくらいしてるから、きっと覚えてないんです」
葵の言い方がこそばゆくて、思わずひっこめようとした手を、それは許さないとばかりに強く握られる。
「怪我は嫌ですけど、咲也さんのそういう所が、ホントに好きです」
咲也の手のひらを自分の頬まで持っていき、甘えるように頬をすり寄らせる。猫のように、しかし猫というには下心を持って、葵の体温が咲也へと移っていく。どこまでも純粋で、どこまでも深い愛情をくれる男だと思えた。この男が彼氏になる女子は、どれだけ幸せなのだろうかと。きっと一途に愛し、疑う余地などないのだと。
「咲也さんの手、あったかいな」
『咲也の手、あったかいね』
何気なく言われた葵の言葉が、別の女性の声で再生された。
この部屋、この場所で、まったく同じことを言われたことがある。忘れたわけではなかったが、できれば忘れていたいと封をした記憶だった。動揺した目が、お揃いのうさぎを捕らえる。連鎖して思い出されるクマのキーホルダーは、咲也に”早く言うべきなんじゃないのか”と警告してきた。
『咲也?』
「咲也さん……?」
また、葵と”記憶の人物”の声が重なった。
様子がおかしいことを感じ取り、葵が顔を覗き込んできた。そして、目を見開く。
それもそのはずで、先ほどまで楽しくじゃれあっていたはずの咲也が、今にも泣きだしそうなほどに、目を潤ませていたからだ。
「咲也さん⁉ どうし」
「俺、やっぱり無理だ」
「無理って……」
涙をながさないように、必死に眉に力をいれる。
「このままいったら、きっとお前を好きになる」
「!」
葵にとっては、嬉しいことこのうえない告白だった。けれど、咲也の様子は幸福とは程遠い。
「でも、そうなっても俺はお前と付き合えない。それを受け入れたくなくて、忘れたフリしてた」
「忘れたフリって、咲也さん、俺、ちょっと何言ってるのか――」
「俺はきっと、お前のこと信じてあげられないから」
去年のクリスマス、切り裂かれた自分の胸の痛みが、ぶり返してくるようだった。
最悪な過去は、一番幸せな時に足を引っ張るんだよ、と誰かが頭の中で言った気がした。
