『集合は現地に午後三時。買い出し組はそれより早い二時に、キャンプ場がある最寄り駅に集合で』
語学クラスのメンバーで行くことになったキャンプの日程が、いよいよ今週末に迫っている。連日、深谷やそれ以外の実行メンバーから、当日の注意事項がメッセージアプリで送られてきていた。
深谷にカレーをごちそうになってから、特に彼からキャンプ地の相談を受けることはなかった。どうやら、深谷のほうでいいところを絞り込んだらしい。
最終的にアンケート形式による多数決で確定したけれど、ほぼ満場一致で都心から電車で移動でき、なおかつ駅からも移動がしやすいグランピング施設になった。
予定では夕方からバーベキューをし、施設内にある宿泊テントに分かれて眠るらしい。
学割がきくとのことで予算もできる限り抑えたプランになっており、自由参加とはいえ、ほとんどのメンバーが参加することになっていた。
てっきりもっと不参加のメンバーがいると思ったけれど、俺が思っている以上に語学クラスの仲はいいらしい。小グループに分かれているものの、特にトラブルもなく、またノリのいいメンバーもそろっているおかげか、想定以上の参加率だった。
(了解、と)
次々に深谷のコメントにリアクションがつき、スタンプやらコメントやらが濁流のように押し寄せてくる。
俺も初めてメッセージを送った。だけど、すぐにまた別の人のメッセージで流れていく。
そのことに胸を撫でおろしつつ携帯を弄っていると、今度は個別に深谷から連絡がきた。
『明日のキャンプだけど、一緒に集合場所まで行かね?』
『俺も薫も買い出し係だし』
『ダメ?』
こちらが返信を打つよりも早く、矢継ぎ早に深谷からメッセージが送られてきて、それを目で追うだけになってしまう。
買い出し係になったのは、ただの人数合わせで、何かしら全員に役割が与えられるようにと割り振られた中で、俺は深谷と同じ買い出し係になっていた。
おそらく、深谷が配慮して一緒にしてくれたのだろう。
ほとんど深谷としか話したことがない俺は、彼と一緒の係にしてもらえてありがたかった。
『わかった。一緒に行こう。初めて行く場所だったからちょっと不安だったし』
そう返信をして、携帯を枕元に置く。だけど、すぐに新たなメッセージが届いた。
『やった、嬉しい』
『明日は一時に俺んち来て』
『てか、楽しみすぎて寝れなくなってきた』
『薫は眠れそう?』
またしても深谷からどんどんメッセージが送られてくる。
高校の頃の友人ともメッセージアプリでのやり取りはするけれど、深谷と同じ速さでメッセージを送って来る友人がいなかったため新鮮だった。
遠足前に浮かれて眠れない小学生みたいだ、と思いつつも、ベッドの中で横になり、煌々とブルーライトを放つ画面をタップする。
集合時間について承知したこと、自分も楽しみであることを伝えたら、深谷からたくさんスタンプが送られてきた。
その中には意味のなさないものもあって、深谷らしくて笑えてしまう。
しばらく、深谷とメッセージのやり取りをしていると、とろとろとした眠気がやってきた。
ふわっとひとつあくびをして、適当にスタンプを押す。すると、深谷からもう寝る? とタイミングよくメッセージが飛んできた。
『うん、そろそろ寝ようかな』
『そっか。ゆっくり休んでね。おやすみー』
ひとり暮らしをスタートさせてから、眠る直前に誰かからおやすみと言われるのは初めてかもしれない。
妙なくすぐったさを感じながらも、おやすみとスタンプを送っておいた。すぐに既読になって、深谷からもスタンプが届く。
「明日、たのしみ……かも」
誰に伝えるでもなくぽつりと呟くと、俺は携帯を枕元に置いて目を閉じた。
語学クラスのメンバーで行くことになったキャンプの日程が、いよいよ今週末に迫っている。連日、深谷やそれ以外の実行メンバーから、当日の注意事項がメッセージアプリで送られてきていた。
深谷にカレーをごちそうになってから、特に彼からキャンプ地の相談を受けることはなかった。どうやら、深谷のほうでいいところを絞り込んだらしい。
最終的にアンケート形式による多数決で確定したけれど、ほぼ満場一致で都心から電車で移動でき、なおかつ駅からも移動がしやすいグランピング施設になった。
予定では夕方からバーベキューをし、施設内にある宿泊テントに分かれて眠るらしい。
学割がきくとのことで予算もできる限り抑えたプランになっており、自由参加とはいえ、ほとんどのメンバーが参加することになっていた。
てっきりもっと不参加のメンバーがいると思ったけれど、俺が思っている以上に語学クラスの仲はいいらしい。小グループに分かれているものの、特にトラブルもなく、またノリのいいメンバーもそろっているおかげか、想定以上の参加率だった。
(了解、と)
次々に深谷のコメントにリアクションがつき、スタンプやらコメントやらが濁流のように押し寄せてくる。
俺も初めてメッセージを送った。だけど、すぐにまた別の人のメッセージで流れていく。
そのことに胸を撫でおろしつつ携帯を弄っていると、今度は個別に深谷から連絡がきた。
『明日のキャンプだけど、一緒に集合場所まで行かね?』
『俺も薫も買い出し係だし』
『ダメ?』
こちらが返信を打つよりも早く、矢継ぎ早に深谷からメッセージが送られてきて、それを目で追うだけになってしまう。
買い出し係になったのは、ただの人数合わせで、何かしら全員に役割が与えられるようにと割り振られた中で、俺は深谷と同じ買い出し係になっていた。
おそらく、深谷が配慮して一緒にしてくれたのだろう。
ほとんど深谷としか話したことがない俺は、彼と一緒の係にしてもらえてありがたかった。
『わかった。一緒に行こう。初めて行く場所だったからちょっと不安だったし』
そう返信をして、携帯を枕元に置く。だけど、すぐに新たなメッセージが届いた。
『やった、嬉しい』
『明日は一時に俺んち来て』
『てか、楽しみすぎて寝れなくなってきた』
『薫は眠れそう?』
またしても深谷からどんどんメッセージが送られてくる。
高校の頃の友人ともメッセージアプリでのやり取りはするけれど、深谷と同じ速さでメッセージを送って来る友人がいなかったため新鮮だった。
遠足前に浮かれて眠れない小学生みたいだ、と思いつつも、ベッドの中で横になり、煌々とブルーライトを放つ画面をタップする。
集合時間について承知したこと、自分も楽しみであることを伝えたら、深谷からたくさんスタンプが送られてきた。
その中には意味のなさないものもあって、深谷らしくて笑えてしまう。
しばらく、深谷とメッセージのやり取りをしていると、とろとろとした眠気がやってきた。
ふわっとひとつあくびをして、適当にスタンプを押す。すると、深谷からもう寝る? とタイミングよくメッセージが飛んできた。
『うん、そろそろ寝ようかな』
『そっか。ゆっくり休んでね。おやすみー』
ひとり暮らしをスタートさせてから、眠る直前に誰かからおやすみと言われるのは初めてかもしれない。
妙なくすぐったさを感じながらも、おやすみとスタンプを送っておいた。すぐに既読になって、深谷からもスタンプが届く。
「明日、たのしみ……かも」
誰に伝えるでもなくぽつりと呟くと、俺は携帯を枕元に置いて目を閉じた。

