赤青黄緑。全校生徒が一同に介して、ブロックごとにハチマキを身につけ校庭に整列している。校長の挨拶、先生の注意事項に引き続き、マイクが俺へと回ってきた。
「美化委員会からのお知らせです。気温が高いので、水分補給は忘れずに沢山行ってください。ただ、去年の体育祭のあと、座席にペットボトルを中心にゴミの置き去りがありました。今年はそんなことがないように、各自教室までゴミの持ち帰りをお願いします」
6月の初め、体育祭。美化委員からのお知らせということで、俺も実行委員からマイクを手渡されてわざわざ話しをしたけど、体育祭は開幕直前、まあ大して聞いてないよね、みんな。台から降りていよいよ、体育祭実行委員長にバトンタッチだ。
「皆さん、おはようございます……」
その後に続く絶叫系の開会宣言にどよめく声を聞きながら、俺は赤いハチマキの仲間達の元へと戻っていく。
程なく全員観客席についた。
「おっしゃあ! 赤ブロ優勝目指して行くぞお!」
伝統の背中に獅子の絵柄が付いた長羽織を身に着け、団長はやる気十分だ。
俺はちらりと隣の青ブロックを見た。さり気なさを装いつつも目だけで唯を探す。
(いた)
一際目立つ長身だから見つけやすいのがありがたい。唯は青いハチマキを締め、こちらと同じく仲間に檄を飛ばしている団長の方を眺めているようだ。
朝スマホに「今日はお互い頑張りましょうね」ってメッセージをくれてた。今日は多分お互いのクラスの打ち上げに出るから夕方からも会えそうにない。
唯は『クラスの集まりより、体育祭が終わったら先輩と会いたい』なんて言ってたけど、俺の方から『クラスメイトも大事にしないと。俺もクラスの打ち上げに出るから』と突っぱねてしまった。
それで朝は特に返信がなくて、ちょっと拗ねたか怒ったんじゃないかなとか、気になっちゃってる。
今日は隣同士に応援席があるから教室より近くにいられるけど、唯とは敵味方に別れてしまった。
その上俺も唯も最後のブロック対抗リレーの走者に選ばれているので、ガチの対戦相手になってる。
(この一週間は「あいつは敵ブロックだぞ」とか俺も唯もクラスメイトに茶化されて大変だったからなあ)
『ふふ……。ガチロミオ&ジュリエットですね。今だけ我慢しないと』
なんて委員長にも言われたっけ。だけど体育祭さえ終われば敵味方関係ない。終了後の美化委員の活動で唯と一緒にいられることが一番の楽しみだなんて周りに行ったら、そこはリレー頑張れよって言われそうだ。
「おい、北門見すぎだろ」
肩をぐいっとサッカー部の友達に引き寄せられてハチマキを締めた額の端がこつんってそいつにぶつかった。
「美化委員会からのお知らせです。気温が高いので、水分補給は忘れずに沢山行ってください。ただ、去年の体育祭のあと、座席にペットボトルを中心にゴミの置き去りがありました。今年はそんなことがないように、各自教室までゴミの持ち帰りをお願いします」
6月の初め、体育祭。美化委員からのお知らせということで、俺も実行委員からマイクを手渡されてわざわざ話しをしたけど、体育祭は開幕直前、まあ大して聞いてないよね、みんな。台から降りていよいよ、体育祭実行委員長にバトンタッチだ。
「皆さん、おはようございます……」
その後に続く絶叫系の開会宣言にどよめく声を聞きながら、俺は赤いハチマキの仲間達の元へと戻っていく。
程なく全員観客席についた。
「おっしゃあ! 赤ブロ優勝目指して行くぞお!」
伝統の背中に獅子の絵柄が付いた長羽織を身に着け、団長はやる気十分だ。
俺はちらりと隣の青ブロックを見た。さり気なさを装いつつも目だけで唯を探す。
(いた)
一際目立つ長身だから見つけやすいのがありがたい。唯は青いハチマキを締め、こちらと同じく仲間に檄を飛ばしている団長の方を眺めているようだ。
朝スマホに「今日はお互い頑張りましょうね」ってメッセージをくれてた。今日は多分お互いのクラスの打ち上げに出るから夕方からも会えそうにない。
唯は『クラスの集まりより、体育祭が終わったら先輩と会いたい』なんて言ってたけど、俺の方から『クラスメイトも大事にしないと。俺もクラスの打ち上げに出るから』と突っぱねてしまった。
それで朝は特に返信がなくて、ちょっと拗ねたか怒ったんじゃないかなとか、気になっちゃってる。
今日は隣同士に応援席があるから教室より近くにいられるけど、唯とは敵味方に別れてしまった。
その上俺も唯も最後のブロック対抗リレーの走者に選ばれているので、ガチの対戦相手になってる。
(この一週間は「あいつは敵ブロックだぞ」とか俺も唯もクラスメイトに茶化されて大変だったからなあ)
『ふふ……。ガチロミオ&ジュリエットですね。今だけ我慢しないと』
なんて委員長にも言われたっけ。だけど体育祭さえ終われば敵味方関係ない。終了後の美化委員の活動で唯と一緒にいられることが一番の楽しみだなんて周りに行ったら、そこはリレー頑張れよって言われそうだ。
「おい、北門見すぎだろ」
肩をぐいっとサッカー部の友達に引き寄せられてハチマキを締めた額の端がこつんってそいつにぶつかった。



