☆燈真視点 本編ネタバレありなので本編読了後にご覧くださいませ。
退場門の前、『ペットボトル』と書かれた美化委員お手製のタスキをかけた俺と『普通ゴミ』というタスキをかけた唯は門の横に立って声を張り上げた。
「ペットボトルは中味抜いてあるやつだけ袋に入れていいけど、そうじゃないのは教室まで持ち帰って! それ以外のゴミはこっちの人の袋に入れて」
体育祭直後、美化委員会の面々はクラスごとに散らばってゴミ拾い、俺たちは退場門の前で張り込みながら、手っ取り早くゴミを集めてしまう作戦にでた。
「分別する?」
「キャップとガワ、外してから入れてくれ」
声を掛けたら、皆律義にその場で飲み干して分別までしてくれる。俺の袋には見る見るうちに空のペットボトルが溜まっていった。
「先輩の方、もうすぐ一袋埋まりそうですね。負けてられないな」
「なんだそれ、賭けるのか?」
「いいですね」
すぐに唯はのってきたけど、俺はお互いの袋を見比べて即座に首を振る。
「うそうそ! ペットボトルの方が嵩張るもん。絶対俺の勝ちじゃん。なしなし」
「……先輩のそういういつでも正々堂々としたとこ、好きです」
わざわざ俺の顔を覗き込んできて『好きです』をやや溜めていう。こいつほんとさあ。
(ぜってぇ、ワザと言ってるだろ。すぐ俺の事からかってくる!)
ぐぬぬ、年下のくせに。俺の事こんな風に揺さぶってばかりだ。
『唯、大好きだ!』
最後の競技、借り物競争で、なんていくらテンション上がりまくったからって、ほとんど全校生徒の前で公開告白したも同然だ。
我ながら大胆なことしてしまったと後で顔から火が出るかと思うほど恥ずかしくなった。
もちろんさ、誰にも聞かれてなくて、唯にももしかしたら聞かれてなかったかと思ったんだけど。
(ちゃんと伝わってたってことだな)
いや、伝えたいから発した言葉なんだから自分の行動に責任をとろう。
俺は唯が好き。大好きだ。うん。これでいい。
一人で納得して少しだけ雲がててくすんできた青空を見上げた。教室へ帰る人たち、体育祭の撤収作業をする人たち。俺たちは胸を張って、並んで立ってる。だって今年の体育祭、我ながらすごく頑張ったって思うから。
「楽しかったな。体育祭」
「はい」
きっと一生、思い出に残るんだろうなって、賑やかな祭りが終わるみたいに、ちょっとだけ寂しかった。
「……あー。でも。俺、お前と走りで勝負したかったなあ。来年も二年と三年じゃ一緒には走れないだろ」
「先輩は来年団長やりそうですね」
「ええ、やんねぇよ。大変だもん」
「そうですか? 人をまとめるのむいてそうですよ」
「あの羽織きて走るのもう勘弁。走りにくいったらなかった」
「俺と先輩、ガチで走ったら、先輩に敵わない気がするけど。でも先輩が先を走ってくれてたら、絶対追いつける自信がある」
「なんだそれ? 俺が勝つの? それともお前が勝つってこと?」
「どっちでもいいかな。いままでもこれからも、ずっと並んで一緒に走れるなら、頑張って追いつきます」
体育祭の後でエモさが増してるだけかもだけど、うわ、ちょっとじんっときた。
俺は両手でゴミ袋を持ったまんまだったから、膝で気障な唯の脛を小突いた。
退場門の前、『ペットボトル』と書かれた美化委員お手製のタスキをかけた俺と『普通ゴミ』というタスキをかけた唯は門の横に立って声を張り上げた。
「ペットボトルは中味抜いてあるやつだけ袋に入れていいけど、そうじゃないのは教室まで持ち帰って! それ以外のゴミはこっちの人の袋に入れて」
体育祭直後、美化委員会の面々はクラスごとに散らばってゴミ拾い、俺たちは退場門の前で張り込みながら、手っ取り早くゴミを集めてしまう作戦にでた。
「分別する?」
「キャップとガワ、外してから入れてくれ」
声を掛けたら、皆律義にその場で飲み干して分別までしてくれる。俺の袋には見る見るうちに空のペットボトルが溜まっていった。
「先輩の方、もうすぐ一袋埋まりそうですね。負けてられないな」
「なんだそれ、賭けるのか?」
「いいですね」
すぐに唯はのってきたけど、俺はお互いの袋を見比べて即座に首を振る。
「うそうそ! ペットボトルの方が嵩張るもん。絶対俺の勝ちじゃん。なしなし」
「……先輩のそういういつでも正々堂々としたとこ、好きです」
わざわざ俺の顔を覗き込んできて『好きです』をやや溜めていう。こいつほんとさあ。
(ぜってぇ、ワザと言ってるだろ。すぐ俺の事からかってくる!)
ぐぬぬ、年下のくせに。俺の事こんな風に揺さぶってばかりだ。
『唯、大好きだ!』
最後の競技、借り物競争で、なんていくらテンション上がりまくったからって、ほとんど全校生徒の前で公開告白したも同然だ。
我ながら大胆なことしてしまったと後で顔から火が出るかと思うほど恥ずかしくなった。
もちろんさ、誰にも聞かれてなくて、唯にももしかしたら聞かれてなかったかと思ったんだけど。
(ちゃんと伝わってたってことだな)
いや、伝えたいから発した言葉なんだから自分の行動に責任をとろう。
俺は唯が好き。大好きだ。うん。これでいい。
一人で納得して少しだけ雲がててくすんできた青空を見上げた。教室へ帰る人たち、体育祭の撤収作業をする人たち。俺たちは胸を張って、並んで立ってる。だって今年の体育祭、我ながらすごく頑張ったって思うから。
「楽しかったな。体育祭」
「はい」
きっと一生、思い出に残るんだろうなって、賑やかな祭りが終わるみたいに、ちょっとだけ寂しかった。
「……あー。でも。俺、お前と走りで勝負したかったなあ。来年も二年と三年じゃ一緒には走れないだろ」
「先輩は来年団長やりそうですね」
「ええ、やんねぇよ。大変だもん」
「そうですか? 人をまとめるのむいてそうですよ」
「あの羽織きて走るのもう勘弁。走りにくいったらなかった」
「俺と先輩、ガチで走ったら、先輩に敵わない気がするけど。でも先輩が先を走ってくれてたら、絶対追いつける自信がある」
「なんだそれ? 俺が勝つの? それともお前が勝つってこと?」
「どっちでもいいかな。いままでもこれからも、ずっと並んで一緒に走れるなら、頑張って追いつきます」
体育祭の後でエモさが増してるだけかもだけど、うわ、ちょっとじんっときた。
俺は両手でゴミ袋を持ったまんまだったから、膝で気障な唯の脛を小突いた。



