7月。
 梅雨の晴れ間、昼過ぎ。
 ユウタは大学のラウンジにいた。

 マキと待ち合わせのためだ。
 このあと落ち合ったら、いっしょに心斎橋のカフェに行くことになっている。

 目的は、マキがユウタに相談したいことがある、ということだった。

 なんだろうな……。

 ユウタは、なんの話だろうと考えていた。

 マキとは一日おきぐらいには会っているし、会わない日もたいていLINEでやりとりをしている。
 コミュニケーションを取らない日はない。

 けれど、マキがあらたまった雰囲気で、相談したいことがある、と言ってきたのは初めてだ。

 ……11月の、アリヤと出演するイベントのこと?
 それとも、DJスクールのこと?

 ……はたまた、うまいもんいっしょに食べに行かないか、って話?
 (しかし、うまいもんいっしょに食いに行くのは、常日頃からけっこうやってるしな……。
 そんなことでわざわざ「相談したいことがある」とは言わんよな……)

 マキとつき合っている関係になってから、もう一か月ほどが過ぎたことになる。
 その間、二人でいろいろな話をしてきた。
 その中でユウタが新たに気づいたことは、マキが世の中で起こっているさまざまなこと ― 社会問題、福祉問題、政治や国際問題に至るまで ― にとても関心がある、ということだ。
 そしてもうひとつ、マキはそれらのことに対して、ユウタも感心するぐらい、本当にいろいろなことを感じたり考えたりしているということだ。

 マキの大学での専攻は社会学だ。
 ゼミでは「社会福祉論」という科目を取っている。
 なので、それに関係するような社会問題 ― 高齢者、障がいのある人、若い人たち、子どもたちに関連すること ― に特に強い関心を持っている。

 そのためか、マキは最近ユウタによくこんな話をしてくる。

「……ねえユウタ、精神に障がいがある人の就職して1年後もその職場に定着している率って、49.3%なんやって。
 ……ってことはさ、半分以上の人が、1年以内に辞めちゃう、ってことやん?
 これって大変なことやと思わへん?……」

「……ねえ、グリ下に集まってる子たち、おるやん。
 あの子たちがさ、どうしてあそこにおるのかな、どんなこと考えてあそこにおるのかな、って考えることがあるんよね……」

「……全国で引きこもりの子どもや人の数って、146万人もいるんやって。
 こんなの、信じられる?
 国や自治体もいろいろ支援策をしてるみたいやし、NPOとかもいろいろやってるんやけど、なかなか根本的な解決になってないみたい。
 ……そやからさ、そういう人たちに本当は、どういう支援をしてやるべきなんやろな?……」

……などなど。

 もちろん、ユウタはいつもできる範囲で自分の考えを言ったり、アドバイスをしたりはする。
 しかしむしろ、ユウタのほうがマキの話から教えられることも多い。
 いままでは考えもしたことのなかった問題について考えさせられることも、たびたびある。

 そんなわけで、いまやユウタにとってマキと話すことは、単なる楽しみであるだけでなく、大いに学びにもなっている。

 そんなことを考えていたら、出入口の前に立って手を振るマキの姿が見えた。
 小走りで、ユウタの座っているベンチまでやって来る。

「……ごめんー、待った?
 先生と話してたら、ちょっと遅くなっちゃった……」

「おう、全然だいじょうぶやぞ。
 ……ちょっと休むか?」

「ううん、もうカフェ行こ。
 時間遅くなっちゃったし。
 そこでゆっくりするわ」

「オッケー」

 二人は大学のキャンパスを出て、御堂筋をゆっくり歩いて心斎橋へと向かった。

 梅雨も終わりに近づいている時期。
 気温はここ例年と同様の暑さだが、曇り空のきょうは日差しが強くないので、外を歩くのはそれほどキツくない。

「えと、相談って、なんや?」

「それはね……カフェで一服してから!」

「秘密主義やな」

「ちゃうって!
 ……んー、なんて言うかな、少し説明が必要になる話やからさ、ゆっくりできるところでじっくり話したいねん。
 ……それとユウタにお願いしたいこともあるんで、そのこともあるし……」

「……ますます気になるな」

「変なことやないよ。
 心配せんで!」

 マキのきょうのコーデは、黒のリブボートネックTシャツ、グレーのメッシュパーカーにライトブルーのデニム。
 そしてナイキのスニーカー。
 シンプルな姿がマキによく似合う。

 ユウタのほうはいつもと変わらない、定番普段着のコーデ。
 ベージュのTシャツの上に、黒地に白のプリント柄が入ったオープンカラーシャツ、紺のデニム。
 そしてHAWKINSのダークブラウンのウォーキングシューズ。

「席、空いてるかな」

 歩きながらユウタが言った。
 マキがユウタを見て答える。

「混んでること多いもんね、あの店。
 もし空いてなかったら、ほかの店でもええよ」

「うん」

 アメ村エリアの、御堂筋に面したビル。
 地下に降りたところにあるカフェ。
 黒い金属枠にガラスがはめ込まれたドアが、両開きのかたちになっている。
 それが入口。
 外装も内装もシックで洒落た雰囲気。
 そんな、ちょっと高級感のあるカフェだ。
 メニューにはコーヒーやソフトドリンクだけではなく、フードやアルコールなどのドリンク類も豊富にある。
 夜には音楽ライブなどもときどき行われたりする。
 この界隈では感度の高い人によく知られた店だ。

 お値段も、他のカフェやハンバーガーチェーン店にくらべるとそこそこ高めなので、ユウタやマキはたまにしか使えない。
 それだけに、この店に来るのは二人にとって貴重な楽しみである。

 さいわい、店の席には空きがあった。
 ユウタが笑顔でマキを見ると、マキがガッツポーズをする。

「空いてた!
 やったね!」

「よかった。
 そうしょっちゅう来られないとこだしな」

「そうそう!」

 二人は店内に入ると、店員に案内されて奥のほうの席についた。
 木製の机、布張りのソファは大きめでゆったりした感じ。
 店内の照明は明るすぎず、適度に暗めで落ち着いたムードを演出している。

 二人は渡されたメニューを見て、遅めのランチを頼んだ。
 マキがオーダーしたのは、クラムチャウダーのランチプレート。
 クラムチャウダーにサラダ、トリュフオイル、ミルキーブレッドという内容だ。
 ユウタはランチプレート。
 メインがローストチキン、サラダ、本日のスープはかぼちゃのスープ、ライスという内容だ。

「マキ、ドリンクはどうする?」

「……そやなー……。
 オレンジジュースをお願いします」

「じゃあ、オレは……ブレンドコーヒー、ホットをお願いします」

 ウェイターが去ってからマキが言った。

「コーヒーもいいね!」

「マキ、こないだ来たときはコーヒー頼んでたよな」

「そやねん。
 だから今回もコーヒーにしようかと思うたけど、ほかの飲んだことないから、今回はジュースにしてみようかと思うて」

「オレンジジュースもうまそうやな。
 あとで飲んだら感想教えてや」

「もちろん」

「クラムチャウダーもええな」

「そやろー!」

「それもあとで感想聞くわ」

「ユウタの頼んだローストチキンもめっちゃうまそうやん!
 ここは高いからそうそう来れんけど、たまに来るとテンション上がるわ。
 楽しみー!」

 やがて、二人の頼んだランチとドリンクが運ばれてきた。
 マキが思わず叫ぶ。
 といっても、この場所の雰囲気はちゃんとわきまえている。
 小さめの声での叫びだ。

「うおー、 おいしそう!!
 お腹空きまくってるし、早よ食べよ!」

「食べる前から盛り上がってんな。
 ……それでは、いただきます」

「いっただっきまーす!!」

 マキはクラムチャウダーをスプーンですくって一口飲んだ。

「……んー、おいしいー!
 ほんと、ここのもんはみんなおいしいね!」

 ユウタは、ナイフとフォークでローストチキンを切ると口に運んだ。

「……うん、うまいな」

 マキはミルキーブレッドを口に入れると、幸せそうにゆっくりとかんだ。

「……このミルキーブレッドも、さすがここのパンだけあるね。
 この、もっちりして適度にサクサクな感じ!!
 焼き加減もサイコーやし……」

「そやな。
 ひさしぶりに来たけど、オレのランチメニューも変わらんおいしさや」

 マキはオレンジジュースを一口飲んで、ふたたび言った。

「んー……おいしいー!
 このオレンジジュースもサイコーや!!
 ほんとのオレンジの味がする!
 これ頼んでよかった!」

「喜び方、ハンパないな」

 ユウタがニヤついて言う。
 マキがその表情に気づいて、

「なにその顔。
 ……バカにしてんなー!?」

と、プンとふくれて言う。
 ユウタはあわてて釈明した。

「いや、バカになんかしてないって。
 ……うれしそうな様子が可愛いなー、って思ってるだけ」

 そう言いつつ、ユウタはちょっとこそばゆいように、鼻の頭を指で搔いた。
 マキはユウタのその様子を見て、ちょっとはにかんだように、

「それは、どうも……」

と小さくつぶやく。

 ユウタはマキを見て微笑みながら、

「ゆっくり食べや。
 ここんとこ、忙しかったろ。
 少しゆっくりしいや」

とやさしく言った。
 マキは笑顔になって、

「うん!」

と返す。

 二人ともランチを食べ終わると、ドリンクを飲みながら雑談をした。
 しばらくするとユウタがマキに尋ねた。

「……ところで、本題入ってもええか?
 相談って、なんや?」

 マキはそれを聞くと、姿勢を正すようにぴん!と背筋を伸ばした。

「ん!
 そうそう、本題や。
 いい?始めて」

「ああ、どうぞお願いします」

 マキは、オレンジジュースをストローで一口飲んだ。
 そして、まじめな顔になると話し始めた。

「あのね、いまあたしが出てるゼミって、『社会福祉論』っていうやつなのやんか。
 前にちょっとユウタに話したことあるかもやけど、福祉、特に高齢者とか、障がいを持ってる人の支援とか福祉のしかたについて、みんなで考える科目やねん」

「ああ、もちろんおぼえてる」

 ユウタが相槌を打った。
 マキはうなずいて先を続けた。

「……でね、9月にゼミで施設見学っていうやつがあって。
 障がいを持ってる人が働けるようになるための訓練をする施設にみんなで見学に行くことになってるの。
 正確な名称は『就労継続支援B型事業所』っていうんやけど、そこを見学するねん。

 そこはさ、障がいのある人たちが通って、就職するスキルを身につけるために、いろいろな作業をしたり、訓練をやったりするのね。
 たとえば、部品の組み立てとか、チラシを折るみたいな軽作業やったりとか。
 最近は、パソコンで事務作業とか、プログラミング、グラフィック、イラストやWebデザインなどのやり方を教えてくれたり、そういう作業をすることができる事業所も増えてるみたい。
 就労継続支援B型事業所ってのはそういうふうに、就労につながるような作業をしたり、就労するためのスキルを身につける訓練とかをする場所。
 いわゆる作業所と、職業訓練所をいっしょにしたような施設、って感じかな。

 今回あたしたちが行く事業所に通ってる人は、精神障害のある人が3分の2くらい、身体障害の人が3分の1くらいらしいの。

 でね、その事業所って、十人前後の人たちで組み立て作業やったりもするから、けっこう広いスペースがあるんやって。
 それこそ、ちょっとしたミニライブもできるくらいの広さらしいんよ」

「なるほど」

「そんでね、ゼミの先生にあたしがDJやってるってこと、前に話したことあるのやんか。
 そしたらな、武田先生に、あ、その先生、武田先生っていうのやけど、先生に、

 『森本さん、せっかくだから、そこで森本さんがDJをやって聴かせて、施設利用者のみなさんにDJ体験してもらう、みたいなことはできないですかね?』

って言われて……」

 ユウタが興味深そうに身を乗り出した。

「ほう……。
 それはええかも……」

 マキもユウタの反応を見ると元気よく言った。

「そう!
 あたしも、それ、おもろそうやな、と思ってん。

 『でも、事業所さんのほうは、そんなんやってもだいじょうぶなんですか?』
 
 いちおう、そう聞いてみたの。
 そしたら、先生がもうすでに事業所の所長さんにできるかどうか話をしてくれたらしくて、所長さんからも、

 『だいじょうぶですよ。
 むしろ利用者さんたちもとても喜ぶやろうから、ぜひやってほしいです』

 そう言ってきたそうやの」

 するとユウタが言った。

「うんうん。
 ……でもさ、そこでDJやるのは、設備的に可能なんか?
 機材置く場所とか、PAとか」

 マキは、よくぞ聞いてくれました!と言わんばかりの様子で、右手の人差し指を立てると揺らしながら答えた。

「そう!そこなの!
 もしそこでDJやるならさ、まず機材はコントローラー持ってけばええやん。
 でも、コントローラー置くテーブルとか、パワードスピーカーとかいるやん。
 ……で、それについても、先生通して聞いてもらったねん。
 そしたら、テーブルは普通の長テーブル、だいたい幅1,500mm、高さ70~80mmくらいのが複数あるから、それを使えるって。
 それとパワードスピーカーは、PC用の小型スピーカーのちょっといいやつがあるけど、それでもよければ、って」

「ふむ……。
 それならできそうではあるな。
 スピーカーは持ち込みしたほうがよさげやけど。
 ま、基本できると思う」

「うん!できるよね!
 でね……あたしからユウタへのお願いはね……。
 ユウタも、あたしといっしょにDJやってほしいな、って思ってて……」

 マキは、そう言いながら神妙な面持ちで、ユウタの前で両手を合わせた。
 ユウタは笑った。

「おいコラ、拝むな。
 仏様ちゃうぞ。
 ……そういうことか。
 ええよ。
 全然オッケー。
 喜んで手伝うよ。
 ただし、時間の都合が合えばだけど。
 まあ日程が9月なら、曜日にもよるけど、バイトとかぶらなければなんとかなる。
 というか、オレもその話、すごい興味あるから、できるだけ都合つけるよ」

 ユウタの答えに、マキの顔がパッと明るくなった。
 マキが口を開こうとすると、ユウタが念のため確認した。

「けどさ、そもそもオレが参加することには問題ないんか?
 先生にはOK取れるんか?」

 マキはちょっともじもじしながら、上目遣いでつぶやくように、

「あ……それはね……実は、もうOK取ってて……。
 先生にもユウタのことは話してあるんやけど、2人のDJですか、それはもっといいですね、大歓迎です、って言ってくれてる。
 訓練施設の所長さんも、むしろ2人のDJを同時に見られるなんて本格的やし、楽しみやって。
 ……あはは、ごめん、先走って……」

 ユウタはおかしそうに、フッ、と鼻を鳴らした。

「……なるほど。
 ま、先手先手のマキらしいわ。
 そのほうが話が早くて助かった。
 ……で、DJのやり方としてはどう考えてる?
 二人で持ち時間何10分かずつ、交代でDJして、最後にB2B、ってイメージ?」

 マキは、うれしそうな表情でユウタを指さした。

「そう!そうそう!
 まさにそのイメージ!!

 たぶん、最初に先生やあたしたち訪問団の見学時間が1時間くらいあって、そのあとがDJタイム、ってなると思う。
 DJタイムの持ち時間はトータル1時間くらいかな。

 で、あたしが考えてるスケジュールはこんな感じ。
 ……まず初めに、DJのやってることがどんなことか、それとDJ機材についての説明を、あたしが10分くらいする。
 その後にDJプレイタイム。
 あたしが20分、ユウタが20分、最後の10分でB2B。
 B2Bは、絶対見せたほうがアガるから必須っしょ?

 ……こんな感じで考えてるんやけど……。
 どうかな?」

「ふむ……。
 ええんやないか?
 それで問題ないと思う」

 ユウタはそう言うと、マキをやさしい目で真っすぐに見た。

「……マキ、誘ってくれてありがとな。
 障がいのある人の施設は、オレもすごく関心がある。
 オレも福祉の仕事、興味あるしな。

 オレは心理学専攻とはいえ、実際に精神障がいを持つ人に会ったのは、精神科の病院に1回、見学に行ったときだけや。
 しかもそんときは、あんまり患者さんとコミュニケーション取る機会がなくて、遠くから見てるってのに近い感じやったし、自分でも正直、障害ある人がふだんの生活とか、どんなことに悩まされてるかとか、あんまりしっかりと知ることができてないと思うてる。

 そやから今回はオレにとっても、障がいのある人たちにもっと間近で会って話もできる、いい機会になるかもしれん。
 事業所の利用者さんは、クラブ行ったことある人、DJを見たことある人は多くないやろ。
 もしかしたら全員、DJを見たことも聞いたこともないかもしれんよな。
 それなら、オレたちのプレイを見て、聴いて、どんな反応になるか、それも興味ある。

 それとマキの言うように、利用者さんたちにB2B見せたら、確かにアガってくれるかもしれないよな。
 いいアイディアだと思う」

 マキはユウタの言葉をうれしそうに、うんうん、とうなずきながら聴いている。
 ユウタはマキに尋ねた。

「ところで、日時はいつになるん?」

 マキは、あ、という表情で自分のスマホを見て、

「そ、そ!
 肝心の日時ね!
 いまのところ、9月19日金曜日午後の予定で進んでるんやけど。
 ……この日、ユウタだいじょうぶ?」

「ちょっと待ってな、スケジュール確認するから」

 ユウタは自分のスマホで9月のスケジュールを確認した。

「ああ、だいじょうぶ。
 その日は一日空いてるから、時間いつでもオッケーだ」

 マキは目を輝かせて、いっぱいの笑顔になった。
 ユウタは頭を下げながら、おどけて言った。

「……では、マキさまのお誘い、喜んでお受け申し上げますわ」

 マキはうれしさで爆発した。
 両手を上げて、バンザイして声を上げる。

「ほんま!?
 やったあー!!
 うれしいーー!!!」

 マキの声とバンザイで、店員も含めてカフェ内にいる周囲の客の何人かが一斉にこちらを振り向く。
 ユウタが、笑いをこらえながらマキの肩に手を置いて、小声で言った。

「……おい、マキ、目立つ」

 マキは、気づいて赤くなると小声でつぶやいた。

「……あ……ごめん……」

 そして静かに両手を下ろすと、引き続き小声でユウタに言った。

「……じゃ、すぐ先生に連絡するわ。
 日にち、正式に決定したら教えるね……!」

 頬を赤らめたまま、申し訳なさそう上目遣いでユウタを見る。
 ユウタは、そんなマキを可愛いと思いながら、うれしそうに言った。

「いずれにしても、楽しみやな」

 それを聞くと、マキもたちまち元気を取り戻した。

「うん!あたしも……。
 いやー、ユウタがいっしょに参加してくれるなんて、なおさら楽しみー!
 ……あ、ゼミであたしと仲がいい友だちも参加するから、ユウタに紹介するよー!」

 マキはユウタを見つめながら、本当にうれしそうにニコニコしている。
 ユウタは、そんなマキを見ながら思った。

 ……それにしても、これはなんか、いろいろといままでにない、新しい、おもしろいことになりそうだな……。