(……最近、変な夢ばかり見るわね)



朝。


柚葉はいつもの時間に目を覚ました。ここ最近、柚葉は寝てる間に夢を見るようになっていた。


なんの内容かよく覚えてないのだが普通の夢ではないのはわかる。


そのような夢を見るようになったのは桜久耶と皇帝から衝撃的な事実を聞いた日からだった。


以前からも変な夢を見ていたがこんなにも毎日続くことはなかった。



「おはよう、柚葉。よく眠れたか?」


「お、おはようございます!はい、昨日もよく寝れましたよ」



ぼんやりとしながら朝の支度を終え、いつもの時間に朝食をとるため居間に向かっていた。


中に入ると既に桜久耶は座っていて朝食を待っていた。柚葉を見るなりにっこり微笑む。


柚葉は反射的によく寝れたと言ってしまった。



「そうか?なんか疲れてる顔してるぞ?なにかあればいつでも頼れよ」


「大丈夫ですよ。本当に寝れてます!旦那様こそ、最近忙しそうじゃないですか。ちゃんと休めていますか?」



柚葉の変化にいち早く気づく桜久耶。


鋭いことを言われ、柚葉は焦った。寝れてはいるが夢のせいで深い眠りにはつけていない。


おかげで毎日寝不足のような状態だった。


だけど柚葉以上に働いている桜久耶に心配かけたくなくて、嘘をついてしまった。



「まぁ、園遊会の準備が着々と進められてるからな。演武の稽古も休めん。しかし、夜はしっかり寝てる。私は大丈夫だ」



桜久耶ははっきりと答えた。


園遊会まで残り数日を切った。


皇帝の子息の婚約も無事に済み、あとはお披露目の園遊会を行うのみ。


柚葉はその話を聞いて思わず身体が固まる。



(……そういえば、私は皇帝様の孫に当たるのよね。その事実を知ったのだけど私はどうしたらいいのかしら。私の異能についてもまだ聞いていないし……)



皇帝の孫に当たる柚葉はまだどうしたらいいか分からなかった。


自分の過去と実の母親のことを知ったところで今の生活が変わる訳でもない。


桜久耶は今まで通り柚葉を愛し、幸せな生活を送ることができていた。



「どうした?柚葉」