人気者なワンコ系年下幼馴染が今日もうっとおしい、けど……。

◇ ◇ ◇

 こうして体育祭は無事に終わり、今はもう夕暮れ時。グラウンドも撤収作業がほぼ完了していて、まっさらなグラウンドの上は俺と竜輝のふたりが立っている。
 本当にふたりっきりだから、ちょっと贅沢に感じるな。

「れんくん、おどろっか」
「おう、そうだな」

 そう。あれから俺は竜輝を誘ったてみた。フォークダンスを踊らないかって。こうして俺から竜輝を誘うのはいつぶりだろう?

「手をにぎって」

 差し出された手をそっと握る。すると、ぐっとアイツの胸元に身体が引き寄せられた。力強さを感じただけでギュッと胸が高鳴るのは、恋心の仕業かもしれない。

「ワンツー、ワンツー」

 音楽は流れていないけど俺達のリズムを刻むだけだ。ちなみにリードする側なのは竜輝。
 竜輝のリードは緩急が不規則で、ふいに顔が近くなると彼のタレ目に吸い込まれそうになる。

「……れんくん、顔赤い?」

 こんなに暗いのに、わかりやすいものなのか?

「お前な……」
「……おれだけにしてよ、その顔」
「わかってる」
「ね、ダンスが終わったら……キスしない?」

 沈みゆく太陽に照らされた竜輝の目が、ギラリと妖艶に光った気がする。ワンコっぽい普段の顔とは違うギャップがあって、そそられる俺がいた。
 この雄らしさに俺は弱いんだろう。でもそこも全部ひっくるめて好きだ。

「……今でもいい」
「ほんと? じゃあ……」

 腰をそのまま引き寄せられると、焦らす事もなく唇が重なった。
 今日はみかんの味じゃない。だけどそれ以外には感じられないくらい、気持ちよすぎる。

「ふ……」

 高鳴る心臓が、先へ先へと急ごうとしている。