人気者なワンコ系年下幼馴染が今日もうっとおしい、けど……。

 ぎゅっとアイツの手を握る。今までたくさん握って来たけど、これからもずっと握り続けよう。

「行くよ!」

 竜輝に引っ張られるようにして俺は駆け出す。風を切って走るのはこんなに気持ちが良いんだと感じながら。

「なあ、竜輝」

 ここで伝えねばと思った俺は、竜輝の手を握りしめながら白いゴールテープに向かって真っすぐに走りながら声を掛けた。

「?」
「この後、俺らのクラスの出し物があるんだ、その時……俺の声を聞いてほしい……!」
「わかった、待ってる!」

 笑う竜輝の顔はとても嬉しそうで、まるで満開の花のように見えた。待ってろよ、お前の想いはちゃんと受け止めたから。
 そして俺達は同時にゴールインする。同時に放送部員が田中君が最後の借り物である好きな人を借りて今ゴールしました! と高らかな声を発した。
 若い男性教師2人もふっと軽く微笑みながら、ゴールした目印である赤い旗を掲げると、俺はふうっと息を吐く。

「おれら、1着だって」
「お前のおかげだよ。俺は最後に一緒に走っただけだから」

 竜輝の汗がたくさん流れた顔が愛しく思えて、そっと彼に近づいた。そのまま引き寄せられるようにして汗が滴り落ちる額をお互いにこつんと当てて、喜びを共有する。竜輝の身体からはあの爽やかな香りが今日もしていた。
 こんなに距離が近いはずなのに、周囲の目が全く気にならないし最初にキスを拒否した時のような怖さとかもない。

「だいすきだよ、れんくん」
「うん、俺も」

 このまま溶け合ってひとつになってしまえばいいのに。このまま時間が止まってくれたら……なんてロマンチックな事を考えてしまうくらいには、今の俺はとても高揚しているようだ。