「わかった。俺、頑張るよ。竜輝にちゃんと向き合う」
 
 決めたからにはちゃんとやり遂げねえと。俺は竜輝から離れたくない、離したくない。

「今までアイツとちゃんと向き合おうとしてなかった。けどちゃんと向き合う。俺の気持ち、ちゃんと伝えるよ」
「蓮也……お前」
「俺。竜輝が好きだから。それと……キスしたい」

 胸の奥にしまっておいた欲望を引きずり出す。恥ずかしさが無いと言えばうそになるけど忍なら受け止めてくれると思ったから。

「わかった。頑張れよ」
「ありがとう」

 何かを頬張って咀嚼する音が聞こえたのち、じゃ、また明日な。と忍が言って電話が切れた。

「忍、ありがとな」

 スマホをぎゅっと握りしめて、誰もいない空間で忍への感謝が籠った言葉を紡ぐ。

「……竜輝、俺、バカでごめんな」

 俺の一世一代の大勝負が始まろうとしていた。