そして今、朝飯を食った俺は竜輝と共に家を出て、バス停へと小走りで向かっている。なるべくこいつと学校では関わらないようにしたいんだけど無理そうかもしれない。

「いやあ、れんくんとこの朝ご飯て美味しそうだよねえ。だって朝から焼いたウインナー3本食べられるなんて最高じゃん!」

 俺の後ろでのんきに走っている竜輝だけど、かれこれこの話はさっきから3回聞いている気がする。本当食べる事が好きだなコイツは。

「まずい、そろそろバスが来るな……間に合うか」

 竜輝の事考えてる所じゃなかった。あと30秒くらいでバスが来る! ここからバス停自体は見えているもののまだ距離が合るからギリギリ間に合ってくれれば……!
 くっそ、もっと早起きしてればよかったのに! そうすれば竜輝と朝から会わなくて済んだかも……。

「れんくん間に合わなさそう?」
「ギリギリって所かも」
「わかった。れんくん、おれに掴まって」
「は? ……ちょ、おい!」

 竜輝は俺を軽々と持ち上げて走り出した。 
 ……っておいおいまてまて! 俺竜輝にお姫様抱っこされてるじゃねえか! 男が男にお姫様抱っこするなんてどういう事だよ?!

「おいはなせって! 自分で走れるから!」
「でもおれの方が足早いでしょ多分」

 しまった。ぐうの音も出ない。だが、じたばた抵抗しようにも、俺か竜輝が怪我するのも気が引ける。

「ねぇ、ママ〜男の子が男の子お姫様抱っこしてる〜」
「あらあら、あれって流行りのBLってやつ?」

 近くを通りがかる小学生やおばさん達は皆こっちを見ている。生温かい視線がザクザク刺さって心が痛い。
 これ、公開処刑か何かか?!