「はい、じゃあ桜井君決まりね」
「ちょ、先生!」
「いいだろ蓮也。お前いっつも腹の底から声出さないタイプだし」

 いや、そう言われてもだな。てかお前もそうだろ忍。他人(ひと)の事言えないぞ。

「頼むよ蓮也。お前がうんって言ってもらわないと俺も困るんだ」
「何が困るんだよ」
「教えない」
「なんだそれ」

 でもここで断るのもなんだかなあと思ったので、結局は参加を決める事にした。
 それから俺含めて3人、参加が決まった後は他の競技誰が出るとかそういうのを決めていく。俺はなんだかんだで忍と同じチームの玉入れ競争に出場する事になった。

「という訳で忍、よろしく」
「お前がいてくれてよかったよマジで」
「そこはほら、友達のよしみだし」

 ちなみに忍はサッカー部という事だけあってクラス対抗リレーには出ないのか? と1軍女子共から突っ込まれたけど、忍は残念ながらサッカー部の中では鈍足。本人もそれを自覚しているので名乗りを上げる事はしなかった。
 
「ふう……主張timeねえ……何を言えばいいのやら」

 きゃいきゃいとはしゃぐ声が聞こえる教室の中で、俺は冷たい机の上に顔を乗せて目をつむる。