「蓮也、カリカリしちゃだめよ。りゅうくん困っていたわよ」
「おかん……俺、しばらくは竜輝とは距離置く事にしたから」

 毎朝母親に突っ込まれたら敵わないし、カミングアウトする。大事な所は言わないけどね。

「どうしてよ?」
「どうもこうも、アイツは人気者だから」
「……まあ、これ以上は聞かないでおくわ」
「……うん」

 レンチンし終えたおかずを適当に弁当箱に詰める。あとは卵焼きとウインナーでも焼こうか。
 ああ、こんなに胸が痛い状態で料理するのは初めてだ。俺がわりと好きなおかずばかりなのに、食べたいとは思えない。

「蓮也、無理してない?」

 このタイミングで、予想外の質問を母親からぶつけられた。

「してないよ」
「ならいいんだけど」

 嘘。本当は胸がすごく痛くて苦しい。竜輝が好きなのに。竜輝から離れた方がいいのに竜輝を傷つけてしまったかもしれない。
 俺は……どうしようもなく馬鹿なやつだ。