彼の指の腹から温かさがじんわりと伝わってきて、心地いい。出来ればこのまま離したくないと思う程だ。

「あ、そういえば今日くらいから運動会の練習が始まるらしいね」
「マジ? お前今日体育の授業ある? こっちはないから明日以降かも」
「あるよ~ なんか騎馬戦やるらしいのとフォークダンスだって」

 あ、そうだ。フォークダンスあるの忘れてたじゃん……。
 フォークダンスは男女ペアとなって踊る競技。曲の1節が終わったら交代……という形式だ。

「どうせなられんくんと踊りたいのに、フォークダンス」

 竜輝ならそういうと思った。だがフォークダンスはあくまで男女の踊りなので残念ながら男同士は踊れないはず。

「お前すごい事になりそうだな、女子がワイワイ言ってさ」
「あ~確かに。れんくんの言う通りかも。でもおれはれんくん一筋だから嫉妬しないでね!」
「お、おう……信じていいんだな?」
「うん、信じてよ」

 せがむように語る竜輝の目の奥には、真剣さが炎になって燃えているように見えた。