『だから気にすんな。ゆっくり休んで明日に備えろよ』

 さんきゅ~と返信を送った後に、母親の「ごはん食べる~?!」という大きな声が1階の方から聞こえたのだった。

「……飯食うか」

 今日も出来れば竜輝とキス……したかったけど、残念。って考えてしまう俺もバカかもしれない。

◇ ◇ ◇

 竜輝とのファーストキスから3日後。平熱に下がった俺は今、久々に竜輝と一緒にバスに乗って登校している。竜輝はこれから朝練があるので早めの登校だ。1時間目までは忍からノート借りて休んでた分を写すなりスマホいじりなりしよう。

「やっとれんくんと一緒に学校行けるの、とっても嬉しいよ~」

 もうこの会話を6回くらい繰り返している気がするけど、俺も嬉しい。うっとおしいのには変わらないけどね。でも好き。
 ちなみに漢字テストの追試は100点満点だったらしい。なんでそれを本番で発揮できなかったんだろうかとツッコミたいが、我慢する。

「俺も嬉しい」

 ぼそっと呟くと、竜輝がお気に入りのおもちゃを見つけたかのようにキラキラと目を輝かせた。こういう所ほんとマジでワンコ。

「えっそう?! ほんと?!」
「そりゃあ、な。お前といた方がその……嬉しいし……」

 こういう時に恥ずかしくなる自分を呪いたい。なんでだよこいつが好きだって自覚した時は恥ずかしさなんてなかったじゃんか。

「そっか、そっかそっかあ」

 竜輝はにっこにこの笑顔を浮かべながら俺の両手をぎゅっと指の先端で握る。