あれか? もしかして間接キスの事気にしてんのかな……。

「竜輝、お前まだ残ってんじゃん。なんも新しいの剥かなくても」
「あっ……れんくん、気にするかもって思って」

 ちょっとだけ竜輝が伏し目がちになるのを見て、やっぱ気にしてるじゃねえか。くそ、俺のせいだ……。と心の中で粒嫌射てしまった。

「……あの時は悪かった。俺のせいだ」
「れんくん……」
「……怖かったんだ。でも本当はお前を受け入れた方がよかったんじゃないかって後悔もあって……」

 竜輝が目をまん丸にさせながら、俺をじっと見ている。おそらくは、次に俺の口から放たれる言葉が何なのか、待ち受けているのかもしれない。

「そっか」

 ここで竜輝がぎゅっと俺の身体を抱き締める。決して強く抱きしめるとかじゃなくて、腕を背中に優しく回して俺の頭を竜輝の肩に預けるような、そんな格好になった。
 今日も竜輝の首筋からは香水みたいな爽やかな香りがしていて、彼のぬくもりと共に身体を敏感にさせる。

「竜輝……」

 俺はぎゅっと目をつぶって、両手の拳に力を入れて握りしめた。

「……目をつぶってるって事はさ、いいよね?」

 目を細めて獣のような眼光を放つ竜輝からの察しのいい言葉に、俺は大きく頭を縦に振った。