人気者なワンコ系年下幼馴染が今日もうっとおしい、けど……。

「お、お前……」

 微笑んでいるだけの竜輝の瞳を見ていたら、瞳の底の光に吸い込まれていきそうな感覚を覚える。それに心臓の鼓動がドッドッドッと音を立てて速まっていくのも知覚した。

「ね、してみようよ」
「っ……」

 今の竜輝は完全に子供じゃない。……大人の雄だ。彼から溢れる雄に俺は完全に負けている。
 なのに……ほしい。と言う欲が胸の奥で花開いた。

「恥ずかしいなら目閉じてていいよ」
「り、竜輝……」

 竜輝はもう完全にキスするものだと思っているのか更に顔を近づけさせてきた。竜輝のいい匂いが俺の鼻腔から脳を甘くしびれさせていく。
 もう何にも考えられなくなる……と思った時、ぼこっと顔をのぞかせたのは恐怖の感情だった。

「っ! ごめん!」
「わっ!」

 俺は気が付いたら竜輝の胸ら辺を両手で押して彼を突き飛ばしていた。

「すまん、竜輝っ……! マジですまん!」

 俺は弁当の蓋を急いでしめ直し、ペットボトルも回収して一目散に走りだす。はあはあと息を切らしながら戻って来た教室には、スマホ画面を眺めている忍の姿があった。

「蓮也……どうした?」
「なんでもねえ」

 ガッツリ残っている恥ずかしさを飲むこむように、残っている飯を口の中にかきこむ。そしてペットボトルを掴もうとしたら、手が寸での所で硬直した。