人気者なワンコ系年下幼馴染が今日もうっとおしい、けど……。

 そのまま尾行したら2人気づかれると判断したので、一度体育館に入ってから体育館の壁沿いへと移動する。この壁沿いにはドアが2つ並んでいるのだが、たまたま入り口に近い方が開いていたのでそこの手前でストップし、耳をそばだてた。

「……田中君。こんな所まで呼び出してごめんね」
(おっ聞こえた聞こえた)

 女子生徒のかぼそい声。そして竜輝のいいよいいよ、気にしないで~といつもと変わらない明るい口調が俺の鼓膜に届く。

「それで? 話って……」
「私……! 田中君の事好きなんです! それで、良かったら……!」
「ごめん!」

 秒殺かよ! 結構残酷だなおい! と突っ込みそうになった口を手で押さえて必死にこらえる。女子生徒は言葉につまっているのか、様子はわからないけど声は聞こえてこない。

「俺好きな人がいるんだ。だから無理! ごめんね!」

 竜輝の無邪気な言葉が俺の鼓膜を激しく揺らした。は? 好きな人がいるって? うそだろ? 

「……好きな人、いるんだ」

 ずっと俺にワンコみてえにくっついていてくれるんじゃなかったのか? 俺の中にいた竜輝像ががらがらと音を立てて崩れていくのがわかる。それと同時に俺は竜輝に「また」期待していたんだというのもうっすら自覚した。