竜輝の身体をゆっさゆっさと揺らしてたたき起こしつつ、ボタンを押した。

「次、止まります~」
「ふぇえ? もうおりんの?」
「そうだぞ。ほらさっさと降りる準備しとけ」
「ふわああ~……起こしてくれてありがとね~れんくんがいてくれて助かったよ……」

 まだ眠気があるのか、竜輝のほわほわとした口調はまるでわたあめを想起させる。

「どうも」
「ねえ、おんぶして……」
「いや無理だろどう考えても体格的に」
「そっか……じゃあ歩く……」

 ふらつく竜輝に肩を貸しながらバスから降りた俺。小さな街灯の灯りだけを頼りに、重くなった足をのっそのっそと動かす。

「ついたぞ」

 まだふらついている竜輝が真面目に心配になったので、インターホンを押して母親に預けた。こうして長かった1日が終わり俺はようやく自由の身になったのである。
 まあ、明日になればまたアイツが家に来るんだろうな。ここはつかの間の平和を楽しむ事にしよう。