「えぇと、ポテトMとナゲット1個と、ぶどうジュース2つください」

 こいつらカップルだな……そして女子の方は他校だな。うちの女子制服は紺色のジャケットにプリーツスカートと地味な部類だけど、目の前にいる女子は紺色のセーラー服を着ている。

「はい、ちょうどいただきます~」

 レシートを渡すと出来上がるまで席に座って待ってもらうように教えた。ああ~リア充め爆発しやがれ……と恨み交じりの目線を彼らの背中に向けた。

 付き合い始めたばかりなのか、2人の初々しい反応が見ていて虚しさをかき立てるばかりだ。

「ここ、カップルよく来るわよねぇ」
「っすね……」
「桜井君は好きな人いたりする?」

 いませんよ香椎さん……俺はそんな陽キャじゃねぇんで……。

「いないですねぇ」

 苦笑しながら返すのがやっとだ。

「桜井君ならうちの娘と結婚してもいいわよ?」

 いやいや、そんな……娘さんの選択権は? 俺みたいなのと結婚しても多分いい事ないよ?
 ああでももし俺に彼女が出来たら竜輝はどんな反応をするんだろうか?

 などと考えていたら、窓から見える景色はいつの間にか夜の暗闇とネオンの煌めきに覆われていた。 
 もうそんな時間か。本日の労働もそろそろ佳境かなと考えていたら、男子高校生の集団がぞろぞろとやってくる。その中には勿論、アイツもいた。