んだよ急に! 唐突に大きい声出すんじゃねえよ。
母親のあらあ~という浮ついた声が玄関の方から聞こえてくるのをよそに、俺はばしゃばしゃと顔を洗って髪をブラシで梳く。洗面台の鏡に映る自分の顔と目が合うと、全然イケメンじゃねぇし陰気くせえ顔してるなって思ってしまう。しかも目にクマ出来てんじゃん。
二重で切れ長でまつ毛が多めの目つきは父親ゆずりかもしれない。いずれにせよ俺は容姿に自信があると聞かれたらノーだ。
「おかんなんなんだよ、うるさいって」
自分の顔見るのはこのくらいにしよう。朝からうるさいのは勘弁してくれ! と母親へ愚痴ってやろうかとは思ったけどやっぱり何が起こっているのか気になったので、朝飯を食う前に玄関を覗いてみる事にした。
「は?」
玄関のドアの前で立っていた人物と目が合う。一瞬にして、身体が金縛りにあったかのように硬直してしまった。嘘だろ、お前とはもう会いたくなかったのに。
「れんくんだ! 久しぶり!!」
「……竜輝?」
そこにいたのは茶色がかった黒いショートヘアに、やや華奢寄りだが長身で鍛え抜かれた身体つき。そしてたれ目で可愛らしい顔をほころばせた、俺と同じ制服を着こなすイケメン男子高校生がいた。
最後に見た時とは全然別人になってるけど、甲高い声にたれ目で可愛いよりの顔立ちは変わっていない。
「れんくん! 覚えてる?! おれだよおれ!」
こいつの名前は田中竜輝。竜輝と最後に会ったのはこいつが中学に入学する前。この時はまだ女の子みたいな可愛らしい系のガキだったのに、こんなイケメンに成長するとは。
なんだか、会いたくなかった人物がガラリと成長しているのを見て、まるで俺がどこかに置いてきぼりを喰らったような寂しい気持ちになる。そっかあ、こいつも大人になったんだなあ。あのまま変わらないと思ってたよ。
(こないだまでは子供だったのに……てかうそだろ、こいつ俺と同じ高校に進学したのかよ!)
「蓮也、昨日入学式で今日から登校だから、一緒についてってやりなさい」
「はあ?! やだよ!」
いやいや待て待て! なんでこいつと一緒に学校へいかなくちゃなんねんだよ……! と返すも、母親からはいいじゃないの、りゅうくんが迷子になったらどうするのよ。となだめられる。
「迷子って……もう子供じゃないんだからよお」
「でもれんくん、おれらまだ未成年だから子供だよ? それにおれはやっぱりれんくんと一緒が良い!」
母親のあらあ~という浮ついた声が玄関の方から聞こえてくるのをよそに、俺はばしゃばしゃと顔を洗って髪をブラシで梳く。洗面台の鏡に映る自分の顔と目が合うと、全然イケメンじゃねぇし陰気くせえ顔してるなって思ってしまう。しかも目にクマ出来てんじゃん。
二重で切れ長でまつ毛が多めの目つきは父親ゆずりかもしれない。いずれにせよ俺は容姿に自信があると聞かれたらノーだ。
「おかんなんなんだよ、うるさいって」
自分の顔見るのはこのくらいにしよう。朝からうるさいのは勘弁してくれ! と母親へ愚痴ってやろうかとは思ったけどやっぱり何が起こっているのか気になったので、朝飯を食う前に玄関を覗いてみる事にした。
「は?」
玄関のドアの前で立っていた人物と目が合う。一瞬にして、身体が金縛りにあったかのように硬直してしまった。嘘だろ、お前とはもう会いたくなかったのに。
「れんくんだ! 久しぶり!!」
「……竜輝?」
そこにいたのは茶色がかった黒いショートヘアに、やや華奢寄りだが長身で鍛え抜かれた身体つき。そしてたれ目で可愛らしい顔をほころばせた、俺と同じ制服を着こなすイケメン男子高校生がいた。
最後に見た時とは全然別人になってるけど、甲高い声にたれ目で可愛いよりの顔立ちは変わっていない。
「れんくん! 覚えてる?! おれだよおれ!」
こいつの名前は田中竜輝。竜輝と最後に会ったのはこいつが中学に入学する前。この時はまだ女の子みたいな可愛らしい系のガキだったのに、こんなイケメンに成長するとは。
なんだか、会いたくなかった人物がガラリと成長しているのを見て、まるで俺がどこかに置いてきぼりを喰らったような寂しい気持ちになる。そっかあ、こいつも大人になったんだなあ。あのまま変わらないと思ってたよ。
(こないだまでは子供だったのに……てかうそだろ、こいつ俺と同じ高校に進学したのかよ!)
「蓮也、昨日入学式で今日から登校だから、一緒についてってやりなさい」
「はあ?! やだよ!」
いやいや待て待て! なんでこいつと一緒に学校へいかなくちゃなんねんだよ……! と返すも、母親からはいいじゃないの、りゅうくんが迷子になったらどうするのよ。となだめられる。
「迷子って……もう子供じゃないんだからよお」
「でもれんくん、おれらまだ未成年だから子供だよ? それにおれはやっぱりれんくんと一緒が良い!」



