「きゃああああああっ!」

 正門をくぐって学校の敷地内に入った瞬間、周囲にいた女子達から歓声が沸き起こった。こんな少女漫画みたいな事ってある? と思うくらいに女子達が皆竜輝に釘付けになっている。
 きゃっきゃきゃっきゃと元気な事だ。そんなに竜輝が気になるのかよ……。

「おまえモテモテじゃねえか」
「へへ……中学でもそうだったから慣れてるよ」
「慣れるもんなんか……うらやましいぜ」

 とは言ったけど嫌味はないつもり。

「ええ~おれはれんくんがモテモテになるのはちょっとやだかも」
「は?」

 なんでそう思ったのか聞きたかったけど、1年と3年は別校舎になるのでこの渡り廊下でお別れだ。

「俺こっちだから、じゃ」
「うん! じゃあね!」

 元気そうに手を振る竜輝を見送ってやる。小学校の時は大体校舎が一緒だったけど、高校だとそうではないからその時よりかは関わらずに済みそうだな……。と考えながら教室のドアを開けた。