息ができなくて苦しい。気持ちよさから苦しさに変わった瞬間、塞がれていた唇が解き放たれる。

「はあ……れんくん、好きだよ」
「俺もだ」
「好きって言葉だけじゃ、足りない」

 暗闇に覆われた空を見あげると、小さな白い光がポツポツと瞬いている。そういえばこいつとプラネタリウムにいった事もあったなあ。

「もう、そんな時間か」
「だねぇ、もっといたいよ」
「おい! そろそろ帰れよ〜!」

 いきなり大きな声がしたので、振り返ると体育教師のおっさんが懐中電灯を向けながら、こちらへと小走りでやってくる。

「わ、やべ。帰るか」
「だね!」
「桜井! 田中! 危ないから正門まで送ってやる!」

 俺達は荷物を持って体育教師のおっさんと一緒に走る。
 ま、こんなのも青春らしいかもしれない。