ロシアを観光し終えたら、次はイタリアに飛ぶ。
「マリア様、どこに行きたいですか?」
キラキラした目で私を見てくるイタリアくん。
「おまかせで、、、お願いします」
イタリアの観光地は正直分からない。
今の時間は午前九時。日本時間だと午後四時。
「朝ですね」
「時間感覚狂うある」
「仕方ないです。イギリスじゃないだけマシとしましょう」
「暖かいね」
「街がオシャレ」
台湾くんの感想に頷く。イタリアの街は基本的に石積みの建物らしく、オシャレな感じ。
そして、どのお店にもイタリアの国旗が飾られている。
「イタリアには『ナポリを見て死ね』というドイツの作家が残した言葉があって、ナポリの美しい景色を見ないで死ぬのは勿体(もったい)ないという意味なんです。その意味の通り、ナポリには見どころも沢山あります!ナポリ以外にも氷の(みやこ)として有名なヴェネツィアとか、イタリア観光には外せません!」
楽しそうに語るイタリアくん。
その刹那。
「キャァァァ!」
という悲鳴が聞こえてきた。
「た、大変だ!二十三歳くらいの内気で小柄な女の子が酒癖(さけぐせ)の悪い暴力男(前科持ち)(から)まれている声だ!!」
イタリアくんがすぐに反応し、タタタッと何処か走り去って行った。
「そんなこと分かるんですか?って、イタリアくん!?」
「走って行ったね」
「もうあんな遠くに、、、ゴマ粒みたい」
「速っ!」
「とにかく探しに行くある!」
イタリアくんを追って路地裏に入る。
そこにはガラの悪い男性と女性、そしてイタリアくんがいた。
「ねぇ、ちょっと」
ポンっと男性の肩に触れるイタリアくん。
「あぁ?何だよテメ―――」
男性は言葉を繋げられなかった。イタリアくんの方を見て固まっている。
「それ以上、その子に近付かないで。嫌がっている」
「ヒェ、、、」
男性は()の泣くような声で、逃げて行った。
「あ、ありがとうございました!」
Prego(どういたしまして)
女性はお辞儀をして行ってしまった。
「い、イタリアくん、大丈夫?」
「マリア様が心配してくれるなんて―――!」
振り向いたイタリアくんの手には、いつもの包丁。
「あの男性は刺さなかったんですね」
日本くんは呆れたように言う。
「さすがに刺さないよ。でも国民(うちの子)に手を出そうとした(やから)だし、もしかしたらマリア様にも手を出すかもしれないし、、、だから(おど)すだけ」
サラッと物騒(ぶっそう)な発言を気にもしないように話すイタリアくん。
「イタリアくんが自国民を大切にしているのは分かりました!」
「逆に怖かったあるよ」
「今の絶対、イタリアの顔見てビビって逃げたよね」
今日、新たにイタリアくんのもうひとつの顔が見れました。フランスくん曰く、女性や食文化が関わると本気を出すそうです。