台湾くんに案内されながら混んだ路地を進んでいくと、ある店の前で止まった。
「菜羽はアイスかホット、どっちが良い?」
「じゃあ、冷たいので」
「オッケー、アイスね」
台湾くんは何かを注文をし、渡されたのは薄い茶色とオレンジ色の団子が入ったカップ。
「上で食べようか」
「台湾くん、ありがとうね」
「どーいたしまして」
お店の二階に上がる。椅子が四個ある席に座ってみんなで食べる。
「これは芋圓って言って、豆花(トウファ)と同じくらい台湾で人気のスイーツだよ。芋圓はタロ芋で作られてて、タピオカより食感がもっちもちしているのが特徴的。イタリアが食べているのは豆乳を固めて作る豆花だね」
「へ〜、豆花はイタリア()のとこのパンナコッタみたい。これにも芋圓が入っている〜」
「どちらかと言うと、日本くんのぜんざい、、、?みたいだけどね」
「ぜんざいより、、、豆乳プリン?」
「マリア様が言うなら豆プリンですね!!」
「豆花だよ」
台湾くんがツッコんだ。
スプーンで芋圓をすくって口の中に入れる。
もちもちしていて団子みたい。芋の味がよくして美味しい。あと弾力が凄い、、、!
「美味しい!」
「でしょー」
台湾くんはニコニコと嬉しそう。
「僕は大きい芋圓の方が食べ応えがあって、タピオカよりよく食べることが多いかな。あと、アイスも良いけどホットもオススメだよ。ずっともちもちで固まりにくいし、芋の香りがアイスより感じやすい」
よく見ると、台湾くんはホットを頼んでいた。
「あと、豆花は店にもよるけど、トッピングとして小豆(あずき)や、タピオカ、ピーナッツも選べる」
その後、お土産を買ってロシアに行こうということになって、パイナップルケーキに次ぐ台湾くんオススメの『花生酥(ファーシェンスー)』を購入。
ピーナッツを使ったお菓子だそうで、指でつまむと崩れやすく、表面はサクサクとした食感。味は濃厚なピーナッツの風味が口の中に広がる、、、。
ゴクッと唾を飲み込んだ。
(お、美味しそう、、、!)
なんて考えていたら、大きなお土産屋さんを見つけた。何で大きい方に入らなかったんだろう?
「ねぇ、台湾くん。あの店の方が大きいけど、お土産いっぱいあるの?」
「いや、あれは、、、って、イタリア!やめて下さい!!」
ふら〜っと店頭に可愛い女性がいたのか、その大きなお土産屋さんに寄っていくイタリアくん。
「危ないですよ!!」
「危ない、、、?」
と思った刹那、ドゴーっとやいのやいの観光客が押し寄せてきた。その波に溺れる手前で台湾くんによって確保されたイタリアくん。
加油(頑張れ)ー!」
「観光バスに詰め込められるだけ詰め込めー!」
「ワー」
「ワー」
やいのやいの、我先にとセール商品に集まる主婦達のように、お土産屋さんから出ていく観光客。
「あの店は爆買いする中国人用なんです。この波に飲み込まれたら戻れませんよ」
「怖っ、、、」
その中には中国くんもいて、、、。
「中国くん!?何してるの!?」
「あ、おめーらまだ台湾にいたあるか。丁度良かったある。日本を忘れてるあるよ」
人混みを掻き分けて来るのは疲れた顔を見せる日本くん。
「「「あ」」」
そして、日本くんを見て声を合わせる三人。
「そうだった、日本くんいないと僕達帰れなかったね、、、」
「帰りは飛行機になっていたよ」
「中国、ありがとう」
わ、忘れていたんだ、、、。