17歳の春。 子どもと大人の境目。 これまで何の不自由もなく、 流されるままに生きてきた私にとって、あなたはあまりにも眩しかった。 「……まどかはさ。自分のこと、好き?」 唐突なその問いにうまく答えられなかった。 誰かと比べることなく、自分をまっすぐ見つめることなんて、それまで一度もなかったから。 潮の香りがわずか混じる風が頬を撫で、遠くの空が茜色に染まり始める。 あの日の私たちは、まだ何者でもなかった。 ただ、未来に漠然とした不安と、わずかな希望を抱えていた。