恐る恐る鳴海くんに近づいていくと、その姿がぼんやりと半透明なことに気づく。


「…っ、幽霊…?」


肩に触れたはずなのに、私の手はすかっと何も掴むことなくすり抜けた。


「みたいだな。で、俺の姿が見えてんのはおまえだけ」

「お母さん。あそこにいるお姉ちゃん一人でお話ししてるよー?」

「しっ、行くわよ」


ハッと振り返ると、怪訝な顔をした女性が子どもを引っ張って去っていくところだった。

私にしか、見えてない…?


「どうせ担任にでも頼まれて、俺の家に行こうとしてたんだろ?そんなのいいから、俺について来い」

「…え?えっと…」

「ここにいても、おまえが変な目で見られるだけだと思うけど」


ふと、さっきの親子を思い出す。…それだけは勘弁してほしい。


「…えっと、今更だけど、鳴海くんは昨日事故で死んじゃったんだよね…?」


夕方を過ぎて夜の色を見せ始めている誰もいない公園で、恐る恐る相変わらず無愛想な鳴海くんに話しかける。