ふと、道の真ん中に突っ立っているうちの高校の学ランを着た男子生徒を見つける。

少し長めの黒髪、高校で学ランはなかなか珍しいうちの制服をだらしげに着ながら、ポケットに両手を突っ込んでいるその後ろ姿には見覚えがあった。


「…鳴海くん?」


彼はゆっくりとこちらを振り返った。

気のせいかもしれないけど、ほんの少しだけタバコの香りが鼻を掠めたようなそんな気がした。


「…おまえ、俺のことが見えんのか?」


そこにいたのは、たしかに死んだはずの鳴海くんだった。


…どうしたんだろう、私。

これは、夢?


「…痛い」


自分の頬をつねってみるけど、痛いだけで夢から覚めることはなかった。


「現実…?な、なんで、鳴海くん、死んだんじゃ…」

「知らない。気づいたら、ここにいた」