「そんなこと思ってないのバレバレなんだよ。おまえの言葉は、笑顔は、全部嘘でできてるんだから。今だって、目の前でタバコ吸ってるやつに怒りもしないなんておまえが俺をどうでもいいと思ってる証拠だ」


全部、図星だった。

誰にもバレていなかった“私”が鳴海くんには全部見透かされているんだとそう思った。


「本当、汚ねぇよな。綺麗な仮面を被っただけの人間が評価されて、自分勝手に生きてる人間が非難される。俺は心底おまえのことが嫌いだよ」


火を消した鳴海くんが何も言い返せない私の横を微かにタバコの匂いだけを残して通り過ぎていった。

それが、鳴海くんとの最後の会話だった。



「はあ…」


先生にもらった鳴海くんの家の地図を見ながら、小さくため息を吐く。

ここには私を知る人は誰もいないから、ため息なんて吐くことができる。


学校は楽しい。仲のいい友達もいて、クラスメイトとだってうまくやっている。

…だけど、時々すごく息苦しい。


「…え?」