どうして今なんだろう。

どうして気づくのがこんなに遅くなってしまったんだろう。


「鳴海くんは私を変えてくれたのに…っ、私は鳴海くんを救ってあげられない…」


時間が必要なのは、私なんかよりも鳴海くんだったはずなのに。

不器用で誰よりも優しい、そんな鳴海くんに私の残りの時間を全てあげてでもいいから、生きていてほしかった。


「俺はおまえに救われたよ。俺のために泣いてくれるやつなんて、少なくともクラスメイトの中ではおまえくらいだ。自分のために泣いてくれるやつがいるって、嬉しいんだな。そのために俺はもう一度おまえに会いに来たのかもな」

「…っ」


鳴海くんの体がさっきよりも透明に、だんだんと消えてきていることに気づく。