========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
中町巡査・・・茂原の交代要員だったが、そのまま勤務している巡査。
楠田巡査・・・チエの相棒。
畑山紅葉(もみじ)・・・副署長の娘。巡査。亡くなった夫の姓のまま、復職。
弓矢哲夫・・・京都府警捜査四課刑事。警部。ひげ面で有名。
刑部政男・・・京都地検特別刑事部の警部補。
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※秋の都大路に繰り広げられる一大歴史風俗絵巻。
行列は《激動の幕末》から始まります。
鼓笛を響かせ整然と行進する維新勤王隊列を先頭に、江戸、安土桃山、吉野、室町、鎌倉、藤原、延暦の各時代の人物が彩りを添えつつ華やかなパレードを繰り広げる「時代祭」は、京都三大祭の一つです。
総勢2,000名(馬70頭、牛2頭、馬車、牛車なども含み)、総延長2キロにわたる行列の巡行は約2時間にも及ぶ一大歴史風俗絵巻。
時代祭の行列の見学には、出発場所の京都御苑と御池通、平安神宮道に設けられる有料観覧席をおすすめいたします。
※行列の主な顔ぶれ
維新勤王隊列
丹波の郷士からなる官軍派の山国隊。
幕末志士列
桂小五郎・坂本龍馬・中岡慎太郎など。
徳川城使上洛列
近世武家風俗を代表する城使の列。
江戸時代婦人列
皇女和宮・蓮月尼・吉野太夫など。
豊公参朝列
牛車など参内する豊臣秀吉の行装。
織田公上洛列
織田信長・羽柴秀吉・柴田勝家など。
楠公上洛列
楠木正成・正季などの甲冑姿。
中世婦人列
大原女・桂女・阿仏尼・静御前など。
城南流鏑馬列
城南離宮で行われた流鏑馬の装束。
藤原公喞参朝列
平安時代の文官・武官の夏装束。
平安時代婦人列
紫式部・清少納言・小野小町など。
延暦武官行進列
坂上田村麻呂の出陣の行装。
延暦文官参朝列
平安時代の公卿の朝廷参内の装束。
白川女献花列
花を頭に載せて売り歩く白川女の列。
※巡行コース
京都御所出発12時→烏丸御池12時50分→平安神宮着14時30分
総延長2キロの行列は12時に御所を出発。
丸太町通を西へ、烏丸通から御池通に至り、河原町通、三条通を経て、神宮道に入り、平安神宮へ到達します。
沿道ではどこでも行列を見学できますが、ゆっくりと観賞できる観覧席が、京都御苑、御池通、平安神宮道に設けられます。
※前回(有限会社芸者ネットワーク33)の粗筋。
出勤した代子に塔子はメールを見せた。
『時代祭が狙われている。烏天狗。』
妙なタレコミメールがGeikoネットワークあったことをチエは知った。
チエは、一計を・・・。
午後12時。御所。
行列は、無事主発した。
しかし、神宮道手前、東山三条当たり。三条京阪駅から雪崩を打って、僧兵姿の一団が電車から降りてきたのだ。
映画の撮影か、時代祭参加者と駅員は思ったが、誰も切符や定期を見せなかったことに気づく。
そして、時代祭参加者の中に割り込み、長刀(なぎなた)を振り回し始めた。
負傷者が出たことで、行列は分断された。
そこに、牛若丸姿の若者が引き返して来た。
いや、若者ではなく、チエだった。
チエは、木刀で相手を翻弄、鴨川に投げ込んで行った。
そこへ、烏天狗の格好をした男が現れ、やはり一団の者を鴨川に投げ込んで行った。
そして、最後に口上?を言った。
「天につばする者はタレ?人につばする者はタレ?人の痛みが分からぬ者は、その身でとくと味わうがいい。人呼んで 烏天狗!!」
時代祭参加者も、見物客も2人に拍手を送った。
どうやら、サプライズデモンストレーションと思ったようだ。
午後5時半。東山署。取調室外。
チエが出てくると、茂原と中町が、オムツを沢山持って入って行く。
白鳥、弓矢、刑部、小町、楠田、紅葉が待っていた。
チエはいきなり刑部を平手打ちした。
「上司に連絡しておいた。参加するんやったら、『筋』通し!!それに、何やあの口上。済んでから言うて、どないすんねん!!」
刑部は罰が悪そうに帰って行った。
「聞いたことある声やと思ったんや。」「ずっこいわ、警視殿。俺の分も残して欲しかったなあ。」「アンタはわっぱかけたやん。」
「やっぱり、マルボウ絡み?」「ダーリン。流石やな。闇サイトで『釣った』らしい。外国人を。弓矢さん、後、頼むで。」
「喜んで。詳細がはっきりするまで、『サプライズ』にするそうです。今夜、灘知事が記者会見するとか。」
チエ達が缶コーヒーを飲んでいると、副署長に連れられ、『一味』が出てきた。
「ほな、弓矢君、白鳥君、後は任せます。」
一味はチエに目を合わさず出て行った。
「小雪ちゃん、報せてくれた?」
「うん。ねえさん、泣いて喜んでた。あの刑部、言う人な。ねえさんに首ったけやねん。自分でタレコミして、自分で活躍。人妻に恋する一途な男心。哀れやナア。」
楠田もチエも紅葉も「哀れやナア。」と言い、笑った。
茂原も中町も釣られて笑った。
―完―


