========== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。

 中町巡査・・・茂原の交代要員だったが、そのまま勤務している巡査。

 弓矢哲夫・・・京都府警捜査四課刑事。警部。ひげ面で有名。
 大前田弘警視正・・・京都府警警視正。大きな事件では本部長を勤める。
 白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。

 オリビア・ウイリアムズ・・・貴志塔子達が訪れた「ふわふわ菓子」の店の前で出逢った女性。ホワイティという蛇を飼っている。日本人と結婚し、奈良に住んでいる。実は・・・。

 橘吉右衛門・・・府会議員。芸者ネットワークのスポンサーの1人。代子は「たーさん」と呼んでいる。
 島代子(しまたいこ)・・・有限会社芸者ネットワーク代表。元芸者。元プログラマー。小雪の先輩。芸者の時の芸名は『小豆(こまめ)』。
 貴志塔子・・・代子がプログラマー時代、組んでいた相棒。ネットワークシステムは、2人の合作だ。

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 【前回(「有限会社芸者ネットワーク23」までのあらすじ】
 平成6年以来、恒例となった、京都五花街合同公演「都の賑い」。
 そのイベントに向けての脅迫状が、芸者ネットワークに速達で届いた。
 鑑賞に参加予定だった府知事・市長は欠席。イベント初日は、厳重な警備体制の下、無事終了した。
 だが、元府会議員の橘吉右衛門宅に、選挙に使われる街宣カーが突っ込んだ。
 それは、単なる事故ではなかった。
 午後7時半。橘家。
 街宣カーは、爆発した。
 家に引火し、火事になった。
 だが、何故か忽ち消火され、鎮火した。

 火事の『野次馬』の1人の男の腕に、冷たいモノが被った。
 「舐めたらアカンで、舐めてエエのは、のど飴やな。でも、あんたには、もっとエエモン味おうて貰おうか。」
 中町は、チエから男を受け取ると、連行した。
 チエの合図で、野次馬の『エキストラ』は、すぐに解散した。
 エキストラの1人が残っていた。
 「警視、お久しぶり。ホワイティが見たら驚くわ。日本家屋は燃えやすいって聞いてたけど。」
 「オリビア、ありがとう。貴方の『情報』が命を救ったのよ。」
 そこへ、照れながら、橘が出てきた。
 「警視。この際と思い、正式に入籍してきたよ。芸者ネットワークの支援も警察への支援もする。でも、議員はもうやらない。」
 チエは、頷いた。
 翌日。午前11時。東山署。取り調べ室。
 「外人だと思って油断したんだね。君に『工作』を頼んだ、薩摩孝太郎候補は、幾つもの容疑で取り調べ予定、党の公認も取り消し。やり過ぎたんだよ。橘さんは、参議院選挙に出馬予定していなかった。奈良県の立候補者の『応援演説』も予定は無かった。ガセだったんだよ。元秘書でも、橘さんは庇っている。薩摩の秘書になって、何かいいことあったのか?『逆恨み』の顚末はお粗末だったな。じゃ、警視、後はよろしく。」
 弓矢は、髭を撫でながら、出て行った。
 橘の秘書、寒川瑛斗は、薩摩の秘書になって、反社とも付き合っていた。
 午後3時半。取り調べ室外。
 オリビアと白鳥、代子、塔子が談笑している。
 小雪は今、『都の賑い』の本番中だ。
 塔子は不服そうに言った。「オリビアさん、本当に弁護人になるの?」
 「仕事だし、ダーリンの頼みだし。正式に結婚するから、奈良と京都の二重生活も終わり。代子さん、これからもよろしくね。」オリビアは屈託なく笑った。
 「オリビア、日本語、上手ね。」と代子が言うと、「うん、ベッドで教わったから、ダーリンに。」と、オリビアは返した。
 皆が爆笑していると、茂原とチエが出てきた。
 「オリビアさん、どうぞ。」中から、署長が呼んだ。
 オリビアは皆に会釈して、取り調べ室に入った。
 「刑部さんに相談して正解だった。予想通り、『都の賑い』は陽動だった。」
 チエは、警備を茂原達に任せて、刑部や弓矢に相談に行ったのだ。
 そこで、浮かんできたのが、選挙運動と政治ゴロだった。
 「お嬢の慧眼ですな。」と茂原が言うと、「暴れん坊小町、舐めたらあきまへんえ。」と代子と塔子が言い、カウンター近くにいた女性警察官が唱和した。
 「暴れん坊小町、舐めたらあきまへんえ。」
 訪れた、警察署の利用客が目を白黒させた。
 ―完―