========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
=====================================
午後10時。神代家。
神代が、電話で熱心に話している。
電話の相手は、副署長の船越だ。
「大丈夫やて、栄ちゃん。あの子は、人の『痛み』が分かる子や。分かりすぎて、苦しむこともある。京大受かった時もな。一緒に受験した同級生がスベってな。ウチ、いかへん!言うからほっぺた叩いた。その子もな。『ウチの分も勉強して。そうでないと、絶交や。』言うたんや。それが小雪ちゃんや。今でも仲良しのな。恩師が罪犯した時も、迷惑かけたな。」
「かなりの精神力で、お嬢は乗り切りました。私はピンチヒッターやっただけ。今回も。信じてますよ、お嬢を。」
「そうか。おおきに。今な。おにぎり作ってんねん。家帰るとすぐ、部屋に入って寝たけどな、夜中に腹減って、出てくるねん。」
「よう分かってますな、署長。梅干しありますか?ストレス多いときは梅干しが一番です。」「少しだけ残ってるわ。」「そしたら、注文しときますわ。お休みなさい。」
副署長船越の親戚は、梅干しの老舗用進堂だ。今から注文して、明日の朝届けさせるに違い無い。
チエは性犯罪に特に厳しい。それは、自分自身が被害者になりかけたからだ。
復讐やリンチはしない。飽くまでも「懲らしめ」程度のことをし、反省をさせる。
それが、チエのやり方だ。時々、暴走するが、周囲の助けがあるからこそ、やって来られた。
いずれは、『武者修行』に行かさなければいけない。
ファザコンのままなら、チエは警視にまでなれなかった。
今はまだ、『知恵の女神』アテナの抱き枕で寝ているかな?
抱き枕は、婚約者の白鳥が、どこかの土産に買って来たものだ。
気配を感じた神代は、トイレに入った。
ゆっくり用を足した後、出て行くと、チエは夢中で、おにぎりを頬張っていた。
「ちゃん、明日な。日曜日やろ?」「うん。」
「先生のとこ行って来るわ。」「了解。」そう言って、神代は冷蔵庫から梅干しを出した。
「あ。もう1個しかあれへん。買うておかな。」「もう、注文したよ。用進堂。」
「手回しええな。」「わしを誰やと思うてんねん。」「ちゃん。」
「お前には勝てん。明日、ゆっくり行っておいで。」「うん。」
仲が良すぎる親子だった。
―完―
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
=====================================
午後10時。神代家。
神代が、電話で熱心に話している。
電話の相手は、副署長の船越だ。
「大丈夫やて、栄ちゃん。あの子は、人の『痛み』が分かる子や。分かりすぎて、苦しむこともある。京大受かった時もな。一緒に受験した同級生がスベってな。ウチ、いかへん!言うからほっぺた叩いた。その子もな。『ウチの分も勉強して。そうでないと、絶交や。』言うたんや。それが小雪ちゃんや。今でも仲良しのな。恩師が罪犯した時も、迷惑かけたな。」
「かなりの精神力で、お嬢は乗り切りました。私はピンチヒッターやっただけ。今回も。信じてますよ、お嬢を。」
「そうか。おおきに。今な。おにぎり作ってんねん。家帰るとすぐ、部屋に入って寝たけどな、夜中に腹減って、出てくるねん。」
「よう分かってますな、署長。梅干しありますか?ストレス多いときは梅干しが一番です。」「少しだけ残ってるわ。」「そしたら、注文しときますわ。お休みなさい。」
副署長船越の親戚は、梅干しの老舗用進堂だ。今から注文して、明日の朝届けさせるに違い無い。
チエは性犯罪に特に厳しい。それは、自分自身が被害者になりかけたからだ。
復讐やリンチはしない。飽くまでも「懲らしめ」程度のことをし、反省をさせる。
それが、チエのやり方だ。時々、暴走するが、周囲の助けがあるからこそ、やって来られた。
いずれは、『武者修行』に行かさなければいけない。
ファザコンのままなら、チエは警視にまでなれなかった。
今はまだ、『知恵の女神』アテナの抱き枕で寝ているかな?
抱き枕は、婚約者の白鳥が、どこかの土産に買って来たものだ。
気配を感じた神代は、トイレに入った。
ゆっくり用を足した後、出て行くと、チエは夢中で、おにぎりを頬張っていた。
「ちゃん、明日な。日曜日やろ?」「うん。」
「先生のとこ行って来るわ。」「了解。」そう言って、神代は冷蔵庫から梅干しを出した。
「あ。もう1個しかあれへん。買うておかな。」「もう、注文したよ。用進堂。」
「手回しええな。」「わしを誰やと思うてんねん。」「ちゃん。」
「お前には勝てん。明日、ゆっくり行っておいで。」「うん。」
仲が良すぎる親子だった。
―完―


