＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ この物語はあくまでもフィクションです ＝＝＝＝＝＝＝＝＝
============== 主な登場人物 ================
戸部（神代）チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
小雪（嵐山小雪）・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
島代子（しまたいこ）・・・芸者ネットワーク代表。元芸者元プログラマー。小雪の先輩らしいが、小雪以外には、本名は知られていない。また、本部の住所も極秘である。
明日菜葉子・・・明日葉病院院長。チエは、明日葉病院の前身の明日葉診療所で生まれた。
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午前８時。船越家。
家の電話に、神代署長から電話がかかってきた。
「お嬢が・・・分かりました。そしたら、署長とお嬢は『インフルエンザ』、ですね。後は任せて下さい。重大事件の場合は、本部長に相談します。」
「いよいよかな・・・子供は、どんな名前がええかな？あ、私は『名付け親』、無理やな。」
午前９時。明日葉病院。待合室。
「神代さん？」
看護師が呼びに来た。
「ちゃん・・・ウチ・・・。」
「今日は混んでるけど、有給休暇にしたさかいな。心配せんでええ。小雪ちゃんには連絡しといた。午後から来るよって、ここで、ご飯食べ。」
「ん。」
午後０時半。待機用の病室。
小雪が代子と駆けつけた。
「今日は、事件も、お休みやな。ダーリンには？」
「報せといた。」
チエが小雪と会話していると、神代が売店から買ってきた弁当を持って来た。
「結果」が出るまでは、タブーとして、３人ともチエを気遣い、世間話をした。
世間話と言っても、事件関係ばかりだった。
「チエちゃんは、先生との『お別れ』が一番、いや、その前に『逮捕』か。」と、代子が言った。
「うん。」
「チエちゃん、憧れてたん？」と、小雪が尋ねた。
「うん。ダーリンとは昔から許嫁やったけど、『本格的』には、まだ付き合ってなかったし。よう教授の部屋に遊びに行った。トランプしたりして。」
「トランプ？修学旅行か。」と、横から神代が突っ込んだ。
「先生な。やっぱりウチに逮捕されたかったらしい。接見の時も言ってた。」
「チエでないと、逃げたかも知れんな。」と神代が言い、「その通りやわ、オジサン。」と小雪が応えた。
話が盛り上がってきた頃、看護師が呼びに来た。
午後５時。
全ての精密検査が終わり、院長がやってきた。ここの女医は、神代の古い知り合いで、チエを取り上げた産婦人科医でもある。
「いい報せと悪い報せ、どっちが先？」
チエは元気よく「悪い報せ！」と言った。
「相変わらずやなあ。悪い報せは、妊娠していなかった。残念！！」と、院長は残念そうな顔をした。
「いい報せは、健康そのもの、ってこと。神代さん。大分疲れがたまってみたいやから点滴打っておきました。じゃ、釈放します。」と言った院長は剽軽に神代に敬礼をして、笑いながら出て行った。
「良かったやーん。」小雪はチエの両手を掴んで振った。
代子も神代も笑って見ている。
午後７時。神代家。
白鳥君も船越も、「大事にならずに済みましたね。」と言ってたよ。
ラーメンを鍋に入れようとした神代の手を、全裸のチエの手が止めた。
「ちゃん。お風呂。」
「ご飯、どうするん？」「後でエエヤン。手錠かけとく？」
神代は、いつものように「お姫様だっこ」をして、チエを浴室に連れて行った。
まだまだ、手のかかる「お嬢」だった。
―完―
============== 主な登場人物 ================
戸部（神代）チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
小雪（嵐山小雪）・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
島代子（しまたいこ）・・・芸者ネットワーク代表。元芸者元プログラマー。小雪の先輩らしいが、小雪以外には、本名は知られていない。また、本部の住所も極秘である。
明日菜葉子・・・明日葉病院院長。チエは、明日葉病院の前身の明日葉診療所で生まれた。
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午前８時。船越家。
家の電話に、神代署長から電話がかかってきた。
「お嬢が・・・分かりました。そしたら、署長とお嬢は『インフルエンザ』、ですね。後は任せて下さい。重大事件の場合は、本部長に相談します。」
「いよいよかな・・・子供は、どんな名前がええかな？あ、私は『名付け親』、無理やな。」
午前９時。明日葉病院。待合室。
「神代さん？」
看護師が呼びに来た。
「ちゃん・・・ウチ・・・。」
「今日は混んでるけど、有給休暇にしたさかいな。心配せんでええ。小雪ちゃんには連絡しといた。午後から来るよって、ここで、ご飯食べ。」
「ん。」
午後０時半。待機用の病室。
小雪が代子と駆けつけた。
「今日は、事件も、お休みやな。ダーリンには？」
「報せといた。」
チエが小雪と会話していると、神代が売店から買ってきた弁当を持って来た。
「結果」が出るまでは、タブーとして、３人ともチエを気遣い、世間話をした。
世間話と言っても、事件関係ばかりだった。
「チエちゃんは、先生との『お別れ』が一番、いや、その前に『逮捕』か。」と、代子が言った。
「うん。」
「チエちゃん、憧れてたん？」と、小雪が尋ねた。
「うん。ダーリンとは昔から許嫁やったけど、『本格的』には、まだ付き合ってなかったし。よう教授の部屋に遊びに行った。トランプしたりして。」
「トランプ？修学旅行か。」と、横から神代が突っ込んだ。
「先生な。やっぱりウチに逮捕されたかったらしい。接見の時も言ってた。」
「チエでないと、逃げたかも知れんな。」と神代が言い、「その通りやわ、オジサン。」と小雪が応えた。
話が盛り上がってきた頃、看護師が呼びに来た。
午後５時。
全ての精密検査が終わり、院長がやってきた。ここの女医は、神代の古い知り合いで、チエを取り上げた産婦人科医でもある。
「いい報せと悪い報せ、どっちが先？」
チエは元気よく「悪い報せ！」と言った。
「相変わらずやなあ。悪い報せは、妊娠していなかった。残念！！」と、院長は残念そうな顔をした。
「いい報せは、健康そのもの、ってこと。神代さん。大分疲れがたまってみたいやから点滴打っておきました。じゃ、釈放します。」と言った院長は剽軽に神代に敬礼をして、笑いながら出て行った。
「良かったやーん。」小雪はチエの両手を掴んで振った。
代子も神代も笑って見ている。
午後７時。神代家。
白鳥君も船越も、「大事にならずに済みましたね。」と言ってたよ。
ラーメンを鍋に入れようとした神代の手を、全裸のチエの手が止めた。
「ちゃん。お風呂。」
「ご飯、どうするん？」「後でエエヤン。手錠かけとく？」
神代は、いつものように「お姫様だっこ」をして、チエを浴室に連れて行った。
まだまだ、手のかかる「お嬢」だった。
―完―
