========== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
 船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
 白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
 楠田幸子・・・チエの相棒の巡査。
 大前田弘警視正・・・京都府警警視正。大きな事件では本部長を勤める。白鳥の父。
 灘康夫・・・京都府知事。元作家。「康夫ちゃん」のニックネームがある。
 金平桂子・・・京都市市長。

 =====================================

 ※伏見稲荷には千本鳥居が何本あるか知っていますか?
 鳥居の数は,数え方にもよりますが,稲荷山全体で約1万基,そのうち千本鳥居は約800基といわれています。
 昨今、鳥居で懸垂したり、脚広げて踏ん張ったり、の外国人観光客。TikTokやInstagramで配信して、問題になっている。TikTokの方は東京の根津神社で、既に謝罪しているそうです。日本に永住しているフランス人は「恥ずかしい行為」だとYouTubeで言っています。

 さて。。。

 午前10時。東山署。会議室。
 会議中、チエのスマホが鳴動した。
 皆、固唾を飲んで見守った。この場合、チエの親友小雪を通しての『通報』だ。
 「『芸者ネットワーク』からです。昨日、京都市在住の帰化フランス人が、たまたま、お参りした伏見稲荷神社で、『迷惑系New tuber』が下見していた事を聞き、どうにか出来ないか、と言ってきたそうです。」
 「芸者ネットワークの情報か。それなら確かやな。チエ、行って来い。茂原、後でフォロー。」
 神代警視正は即断した。
 午前11時。伏見稲荷神社。
 2人の外国人と1人の日本人が、ロープの束と釘とハンマーを用意していた。
 そこに、白鳥が運転するマウンテンバイクでチエが駆けつけた。
 “What Are You Doing?” チエが尋ねると、日本人が外国人と何やらしゃべってから「鳥居の計測をするだけです。」と応えた。
 “Using Rope and nails? How?”
 日本人がまた外国人と何やらしゃべっていたので、チエは、3人とも平手打ちした。
 そして、小雪が差し出したピコピコハンマーで叩いた。
 「何をする!」怒って、反応したのは、外国人の1人だった。
 「反応が違う。猿芝居はせんでええ。日本語ペラペラの外人さん。台本通りに行かなかった事を後悔するんやな。」
 午後2時。東山署。取り調べ室。
 「すると、ながーーーーーい、鳥居やから計測してみようと思った。で、直線や無いから中継地点に釘打つことにした。3人とも、日本語読めるよな。」
 船越は、京都のガイドブックの伏見稲荷のページを見せた。
 「これ、本屋さんやコンビニで買ったもんやないで。君らの所持品や。ここに、鳥居の凡その長さも本数も書いてある。計測は要らんやろ。」
 外国人は、本に手をかけようとした。
 「証拠隠滅?テロ準備罪に、罪が増えたな。さて、良い刑事悪い刑事普通の刑事、どれにする?交替するから。」
 「ふ、普通の刑事。」
 船越は、笑いながら、取り調べ室を出た。
 替わって入って来たのは、彼らを逮捕した女性警察官だ。
 その女性警察官は、スカートをたくし上げて、ニッと笑った。
 午後3時。取り調べ室外。
 茂原と署長、副署長の船越が自販機前でコーヒーを飲んでいたが、取り調べ室の断末魔の声が途絶えたので、茂原が、「そろそろかな?」と言って、楠田の差し出した『オムツ』を持って、取り調べ室に入って行った。
 白鳥がやって来た。「済みません、白バイが間に合わなかったので。」と、マウンテンバイクの件を署長に謝罪した。
 「まあ、白バイでは、あの坂はきついかもな。清水寺の参道ほどやないが。」と、署長は笑った。
 「しかし、芸者ネットワークって凄いですな、署長。」と船越が言うと、「うん。監視カメラより人の目の方が確かやからな。主な神社仏閣の近くの店や住人、永住した外国人もネットで募集して参加している。大したもんや。京都は古い街やけど、人間は、いつまでも古くはないで。」と、笑った。
 そこに、大前田、灘、金平の大御所三人がやって来た。
 署員が、総立ちした。
 「ああ。今、『完落ち』したとこですわ。黒幕も、これから引っ張ります。」と署長が良い、白鳥は、自販機から3人分のコーヒーを買って渡した。
 午後7時。神代家。
 「やっぱり、半グレが噛んでたわ。ちゃんのカンもまんざらやないな。」
 「それ、褒めてるんか?で、どんなパンティ見せてやったんや。」
 「これや。」チエはスカートをたくし上げた。ナナホシテントウ虫の柄のパンティだった。「フリーズしてたで。」
 「白鳥は、幸せ者やな。」
 ―完―