========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
楠田幸子・・・チエの相棒の巡査。
遊佐圭祐・・・チエの幼なじみ。大学同級生。CATV『きょうとのテレビ』の広報課課長。
村雨伸吾・・・「トーンダウン」という雑誌の記者。
市丸新・・・元京都市議。都知事選に立候補、落選。
=====================================
午後1時。京都市左京区。京都大学。
チエは、ミニパトを駐車させ、正門越しに先日のことを考えていた。
自分は、恩師を刑務所送りにした。
父親であり、署長でもある神代警視正は冷然として云い放った。
「チエ。他の者に替わってもええんやで。その代わり、警察官辞めて、さっさと白鳥君の嫁になり。白鳥君は、何て言うかな?」
「ウチが行く。ウチしかできん。」
回想にふけっていたが、「先輩。あそこで自転車の学生と外国人が揉めてます。」と、100メートルほど先をさしたのは、相棒の楠田だった。
「よし、移動。」すぐに駆けつけたチエは、外国人と日本人学生の言い分を聞き、外国人に説明をし、外国人は去って行った。
学生は何度も礼を言い、自転車通行可能ゾーンを走って行った。
「ああ。あの外人さんはナア、日本通で、日本では自転車は車道左側通行やから、歩道走ったらアカン、と学生に注意したらしい。学生は京大の学生で、何とか英語で答えたんやけど、通じへん。『普通自転車歩道通行可』の標識のある区間では、歩道を通行することができて、『始まり』と『終わり』の標識がある。そやから、自転車が車道左側通行は外人さんが正しいけど、京大の学生は例外歩道通行をしていたから間違っていない、って説明してやったんや。多分『ガイドブック』には載ってへんのやろう。」
楠田に説明し終えたチエは、意気消沈の気持ちを追い払って、署に帰った。
署の会議で、『普通自転車歩道通行可』が、あまりにも知られていないので、キャンペーンチラシを作ることを提案していたが、賛成多数で採用された。
「たまには、まともな・・・。」と言いかけて、茂原は早々に去った。
翌日。チエが署の指定業者に印刷を頼みに行くと、ある雑誌記者がやって来て言った。
「利益供与やな。贈収賄かな?」村雨という『ごろつき』記者だった。
「ああ。市丸応援団の記者か。私らは、市丸とは違うで。無実の市議に『居眠り議員』の汚名着せて、自分は会社のチラシのデザインを注文して、気に入らんからって踏み倒して、裁判で負けて、都知事選挙出る時に『もう払ったから関係ない』って開き直って、都知事選挙落選した市丸新の応援団やろ?くっさ!!あんた、屁こいたやろ?」
「え?」「偉い臭いから。クンクン。」チエは、言いながら、村雨の回りを回った。
「気のせいかな?明日、耳鼻科行こう。」
「公僕の婦警さんが、そんな態度でええんか?」
チエは、村雨に手錠をかけた。
「公務執行妨害罪!!あなたには黙秘権があります。」
「はあ?」
広告店の陰で、楠田、小雪がクスクス笑っていた。
遊佐は、黙って撮影していた。
いつの間にか集まっていた、『ギャラリー』が拍手喝采をした。
楠田は、今日は『オムツ』は要らないな、と思った。
―完―
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
楠田幸子・・・チエの相棒の巡査。
遊佐圭祐・・・チエの幼なじみ。大学同級生。CATV『きょうとのテレビ』の広報課課長。
村雨伸吾・・・「トーンダウン」という雑誌の記者。
市丸新・・・元京都市議。都知事選に立候補、落選。
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午後1時。京都市左京区。京都大学。
チエは、ミニパトを駐車させ、正門越しに先日のことを考えていた。
自分は、恩師を刑務所送りにした。
父親であり、署長でもある神代警視正は冷然として云い放った。
「チエ。他の者に替わってもええんやで。その代わり、警察官辞めて、さっさと白鳥君の嫁になり。白鳥君は、何て言うかな?」
「ウチが行く。ウチしかできん。」
回想にふけっていたが、「先輩。あそこで自転車の学生と外国人が揉めてます。」と、100メートルほど先をさしたのは、相棒の楠田だった。
「よし、移動。」すぐに駆けつけたチエは、外国人と日本人学生の言い分を聞き、外国人に説明をし、外国人は去って行った。
学生は何度も礼を言い、自転車通行可能ゾーンを走って行った。
「ああ。あの外人さんはナア、日本通で、日本では自転車は車道左側通行やから、歩道走ったらアカン、と学生に注意したらしい。学生は京大の学生で、何とか英語で答えたんやけど、通じへん。『普通自転車歩道通行可』の標識のある区間では、歩道を通行することができて、『始まり』と『終わり』の標識がある。そやから、自転車が車道左側通行は外人さんが正しいけど、京大の学生は例外歩道通行をしていたから間違っていない、って説明してやったんや。多分『ガイドブック』には載ってへんのやろう。」
楠田に説明し終えたチエは、意気消沈の気持ちを追い払って、署に帰った。
署の会議で、『普通自転車歩道通行可』が、あまりにも知られていないので、キャンペーンチラシを作ることを提案していたが、賛成多数で採用された。
「たまには、まともな・・・。」と言いかけて、茂原は早々に去った。
翌日。チエが署の指定業者に印刷を頼みに行くと、ある雑誌記者がやって来て言った。
「利益供与やな。贈収賄かな?」村雨という『ごろつき』記者だった。
「ああ。市丸応援団の記者か。私らは、市丸とは違うで。無実の市議に『居眠り議員』の汚名着せて、自分は会社のチラシのデザインを注文して、気に入らんからって踏み倒して、裁判で負けて、都知事選挙出る時に『もう払ったから関係ない』って開き直って、都知事選挙落選した市丸新の応援団やろ?くっさ!!あんた、屁こいたやろ?」
「え?」「偉い臭いから。クンクン。」チエは、言いながら、村雨の回りを回った。
「気のせいかな?明日、耳鼻科行こう。」
「公僕の婦警さんが、そんな態度でええんか?」
チエは、村雨に手錠をかけた。
「公務執行妨害罪!!あなたには黙秘権があります。」
「はあ?」
広告店の陰で、楠田、小雪がクスクス笑っていた。
遊佐は、黙って撮影していた。
いつの間にか集まっていた、『ギャラリー』が拍手喝采をした。
楠田は、今日は『オムツ』は要らないな、と思った。
―完―


