========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
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午後1時。上京区。コンビニのブーンレモン上京区店。
ワゴン車が、突っ込んだ。
店員が救急車を呼んだ。
救急病院に到着すると、怪我をした筈の女性は、消えた。
正確には、救急隊員が、病院が用意したストレッチャーに乗せ替えようとした時、患者が消えていたのだ。
騒いでいると、カメラを持った男を含む、三人組の男が近づいてきた。
「どうしました?」と、男の1人が救急隊員に声をかけた。
「飛んで火に入る夏の虫」と、救急隊員は言い、にっこりと笑った。
病院の搬入口から警察官が数人出てきた。
そして、男達は逮捕された。
「殺人未遂はナア。、罪が軽くないで。」と、現れた女性は言った。
遡ること、1時間。つまり、正午。
男達は、ピッキングしやすそうなクルマを物色していた。
車上荒らしではない。もっと、罪は重い。
丁度よいクルマを見付けた男達は、ブレーキオイルに細工をした。
不純物が増えると沸点が下がりブレーキの効きが悪くなる、それが常識だったが、男達は、ブレーキオイルを一旦抜き、不純物入りのブレーキオイルを注入したのだ。
男達は、そのクルマが発車すると、尾行を始めた。
クルマは、だんだん走行がおかしくなって行った。
とうとう、クルマは、あるコンビニに突っ込んだ。
男達は、大きな誤算をした。2日続けて円山公園に駐車していた車両が交通事故を起こしたのだ。
3日目は、何としても防がないといけない。閉業撤去予定のコンビニまで運転して突っ込んだのは、チエだった。
案の定、『夏の虫』はやって来た。
午後3時。東山署。取り調べ室。
廊下の外まで、男達の悲鳴が聞こえた。
「はい、オムツ。いつも大変ドスなあ。しかし、今回限りは、チエちゃんに、雑巾みたいに絞って貰わんとなあ。」と、小町は茂原にオムツを渡して、言った。
「おねえさんの具合は?」「全治2ヶ月。傷が残るかも、って。」
「顔も芸者さんの命、らしいからな。お嬢も『ウチの命は10個あるから、かめへん』なんて言って、危険な仕事を自ら買って出たんや。ちゃんと『島送り』せんとな。ありがとう。」と、オムツを持って、茂原は取調室に消えた。
おねえさん、とは、小町の姉ではなく、先輩芸者である。先輩芸者は、奴らの細工したクルマで運転して、大怪我をした。ブレーキが利かなくなると事故を起こすのは当たり前だ。
彼らは、所謂『迷惑系New Tuber』だった。事故を起こして、いち早く駆けつけニュースにする、完全な『マッチポンプ』だった。
自販機の前に佇んでいる小町の側に、白鳥、署長、副署長がやって来た。
「今日は、『いい刑事』は要らんな。」と、船越が言うと、「『普通の刑事』も要らんで。」と神代が言い、「将来の嫁さんは、どんどん強くなるな。頼もしい。」と白鳥が言った。
―完―
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
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午後1時。上京区。コンビニのブーンレモン上京区店。
ワゴン車が、突っ込んだ。
店員が救急車を呼んだ。
救急病院に到着すると、怪我をした筈の女性は、消えた。
正確には、救急隊員が、病院が用意したストレッチャーに乗せ替えようとした時、患者が消えていたのだ。
騒いでいると、カメラを持った男を含む、三人組の男が近づいてきた。
「どうしました?」と、男の1人が救急隊員に声をかけた。
「飛んで火に入る夏の虫」と、救急隊員は言い、にっこりと笑った。
病院の搬入口から警察官が数人出てきた。
そして、男達は逮捕された。
「殺人未遂はナア。、罪が軽くないで。」と、現れた女性は言った。
遡ること、1時間。つまり、正午。
男達は、ピッキングしやすそうなクルマを物色していた。
車上荒らしではない。もっと、罪は重い。
丁度よいクルマを見付けた男達は、ブレーキオイルに細工をした。
不純物が増えると沸点が下がりブレーキの効きが悪くなる、それが常識だったが、男達は、ブレーキオイルを一旦抜き、不純物入りのブレーキオイルを注入したのだ。
男達は、そのクルマが発車すると、尾行を始めた。
クルマは、だんだん走行がおかしくなって行った。
とうとう、クルマは、あるコンビニに突っ込んだ。
男達は、大きな誤算をした。2日続けて円山公園に駐車していた車両が交通事故を起こしたのだ。
3日目は、何としても防がないといけない。閉業撤去予定のコンビニまで運転して突っ込んだのは、チエだった。
案の定、『夏の虫』はやって来た。
午後3時。東山署。取り調べ室。
廊下の外まで、男達の悲鳴が聞こえた。
「はい、オムツ。いつも大変ドスなあ。しかし、今回限りは、チエちゃんに、雑巾みたいに絞って貰わんとなあ。」と、小町は茂原にオムツを渡して、言った。
「おねえさんの具合は?」「全治2ヶ月。傷が残るかも、って。」
「顔も芸者さんの命、らしいからな。お嬢も『ウチの命は10個あるから、かめへん』なんて言って、危険な仕事を自ら買って出たんや。ちゃんと『島送り』せんとな。ありがとう。」と、オムツを持って、茂原は取調室に消えた。
おねえさん、とは、小町の姉ではなく、先輩芸者である。先輩芸者は、奴らの細工したクルマで運転して、大怪我をした。ブレーキが利かなくなると事故を起こすのは当たり前だ。
彼らは、所謂『迷惑系New Tuber』だった。事故を起こして、いち早く駆けつけニュースにする、完全な『マッチポンプ』だった。
自販機の前に佇んでいる小町の側に、白鳥、署長、副署長がやって来た。
「今日は、『いい刑事』は要らんな。」と、船越が言うと、「『普通の刑事』も要らんで。」と神代が言い、「将来の嫁さんは、どんどん強くなるな。頼もしい。」と白鳥が言った。
―完―


