＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ この物語はあくまでもフィクションです ＝＝＝＝＝＝＝＝＝
============== 主な登場人物 ================
戸部（神代）チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
大前田弘警視正・・・京都府警警視正。大きな事件では本部長を勤める。
=====================================
午後9時。神代家。
家の電話がかかって来る。
神代が出ると、船越からだった。
「署長。八幡市で自転車の轢き逃げ事件発生。重傷の会社員男性の証言で、逃げたバイクのナンバーが判明。目撃した浅川運輸の宅配便トラックが追尾。会社の無線を通じて京都府警に連絡。八幡署から捜査協力の打診が来ています。」
「了解。今、署に向かう。チエ・・・もういやへんやないか。バイクで向かったか。船越さん、非常線張ってくれ。チエのGPSケータイを追ってくれ。」
チエは、こういう場合に備えて、通常のスマホ以外に警察支給のGPSケータイを持っている。所謂ガラホだが、居場所の追尾が可能だ。
午後10時。
チエはバイクで、京都南インターチェンジではなく、京都東インターチェンジ方面に向かった。
市内に逃げれば、どこにでも行けそうだが、轢き逃げ犯の心理状態から、もう一度高速に乗ると判断したのだ。
チエは、ハンドルに固定したスマホで浅川運輸の京都営業所を呼び出した。
もう退社して、誰もいないかも知れない。
一か八かだったが、相手は簡単に出た。
「はい。浅川運輸京都営業所。」
「こちら、東山署の戸部警視です。御社のトラックから父兄に轢き逃げ犯を追尾していると入電がありました。御社に連絡は？」
「ありました。というか、今も継続中です。中継します。」
「了解。」
「今、逃走車は、京都東インターチェンジに向かっています。」
「了解。そこで、合流しましょう。」
午後10時半。京都東インターチェンジ。
バイクは、浅川運輸のトラックと、走行中だった他のトラックがバリケードのように立ち塞がり、パトカーのサイレンも聞こえてきた。
バイクに乗った男は逡巡したが、結局強行突破した。
チエは、追いついた。そして、後続の白鳥の白バイが追いついてきた。
あ・うんの呼吸で、逃走バイクを追い詰め、チエと白鳥は逃走バイクを転倒させた。
起き上がったバイク運転手のヘルメットを取り、チエは平手打ちをした。
「今日は、このくらいにしといたるわ！」そして、後ろを向いて屁をかました。
ブーッ！！
間もなく、パトカー群が到着したので、白鳥は、何食わぬ顔で報告をした。
翌日。午前11時。東山署。取り調べ室外の廊下。
中から、悲鳴が聞こえる。
待機している、神代、大前田警視正、白鳥、船越。
茂原が入って行く。中のチエに声をかける。
「お嬢。お座敷や。銀行強盗やけど・・・。」
チエは、慌てて出てきて、「後、頼むわ、オッチャン。」と言いながら、出て行く。
大前田も白鳥も続いた。
「さて、『良い刑事』登場やな。」と言いながら、船越が取り調べ室に入った。
神代は、署長室に向かった。
女性警察官に声をかけて。
「自販機のカフェオレ、切れてるで。」
慌ただしい一日は始まったばかりだった。
―完―
============== 主な登場人物 ================
戸部（神代）チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
大前田弘警視正・・・京都府警警視正。大きな事件では本部長を勤める。
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午後9時。神代家。
家の電話がかかって来る。
神代が出ると、船越からだった。
「署長。八幡市で自転車の轢き逃げ事件発生。重傷の会社員男性の証言で、逃げたバイクのナンバーが判明。目撃した浅川運輸の宅配便トラックが追尾。会社の無線を通じて京都府警に連絡。八幡署から捜査協力の打診が来ています。」
「了解。今、署に向かう。チエ・・・もういやへんやないか。バイクで向かったか。船越さん、非常線張ってくれ。チエのGPSケータイを追ってくれ。」
チエは、こういう場合に備えて、通常のスマホ以外に警察支給のGPSケータイを持っている。所謂ガラホだが、居場所の追尾が可能だ。
午後10時。
チエはバイクで、京都南インターチェンジではなく、京都東インターチェンジ方面に向かった。
市内に逃げれば、どこにでも行けそうだが、轢き逃げ犯の心理状態から、もう一度高速に乗ると判断したのだ。
チエは、ハンドルに固定したスマホで浅川運輸の京都営業所を呼び出した。
もう退社して、誰もいないかも知れない。
一か八かだったが、相手は簡単に出た。
「はい。浅川運輸京都営業所。」
「こちら、東山署の戸部警視です。御社のトラックから父兄に轢き逃げ犯を追尾していると入電がありました。御社に連絡は？」
「ありました。というか、今も継続中です。中継します。」
「了解。」
「今、逃走車は、京都東インターチェンジに向かっています。」
「了解。そこで、合流しましょう。」
午後10時半。京都東インターチェンジ。
バイクは、浅川運輸のトラックと、走行中だった他のトラックがバリケードのように立ち塞がり、パトカーのサイレンも聞こえてきた。
バイクに乗った男は逡巡したが、結局強行突破した。
チエは、追いついた。そして、後続の白鳥の白バイが追いついてきた。
あ・うんの呼吸で、逃走バイクを追い詰め、チエと白鳥は逃走バイクを転倒させた。
起き上がったバイク運転手のヘルメットを取り、チエは平手打ちをした。
「今日は、このくらいにしといたるわ！」そして、後ろを向いて屁をかました。
ブーッ！！
間もなく、パトカー群が到着したので、白鳥は、何食わぬ顔で報告をした。
翌日。午前11時。東山署。取り調べ室外の廊下。
中から、悲鳴が聞こえる。
待機している、神代、大前田警視正、白鳥、船越。
茂原が入って行く。中のチエに声をかける。
「お嬢。お座敷や。銀行強盗やけど・・・。」
チエは、慌てて出てきて、「後、頼むわ、オッチャン。」と言いながら、出て行く。
大前田も白鳥も続いた。
「さて、『良い刑事』登場やな。」と言いながら、船越が取り調べ室に入った。
神代は、署長室に向かった。
女性警察官に声をかけて。
「自販機のカフェオレ、切れてるで。」
慌ただしい一日は始まったばかりだった。
―完―
