========== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
 藤原真吉・・・チエの幼なじみ。チエは弟分のように思っている。

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 午後9時。神代家。
 「ちゃん。ちょっとアイス切らしたから買うてくるわ。」
 「うん。」
 暫くして、神代は持ち帰った書類仕事を終えた。
 警察官は公務員とはいえども、区役所職員とは違う。残業も持ち帰りもする。
 ふと、冷凍庫を開けると、まだアイスは3個ほどあった。
 神代は,思いついて、チエのスマホに電話した。
 午後9時半。神代家近くのコンビニ。
 「シンちゃん、警察に電話して。」
 コンビニ内に声をかけ、チエはスマホに出た。
 「ちえ。あずきバー。買ってきて。抹茶とな。」
 「了解。」
 チエがスマホをしまうと、店から真吉が出てきた。
 以前、「シンキチ事件」の時、怯えていたが、「ウチが守ってあげるサカイな。」と勇気づけたことがあった。
 チエの足下には、3人の若者が「寝ていた」。股間に何かを滲まして。
 「レイプ未遂や。これで、当分騒ぎは起らんやろ。」
 「すまんな、チエちゃん。」真吉は、110番をした。
 実は、真吉が経営するコンビニは、フランチャイズで、家族が中心になって仕事をしている。
 真吉は、親の代の八百屋を潰してコンビニにしたが、ノルマがきつく規則がうるさく、家族はろくに休めないので、悩んでいた。
 まだ,24時間のところよりマシとは聞いているが、閉業しようかとも考えていた。
 そこへもってきて、最近レイプ未遂事件が連続した。
 レイプは、よく知られるように「親告罪」で、「泣き寝入り」が多い。
 そして、「成功」するかどうかはともかく、すぐに犯人は逃げてしまう。
 犯人はゲーム感覚だ。コンビニは交番ではない。
 災害時には「拠点」にはなるが、普段はモノを売る商売だ。
 困った真吉は、時間帯が固定なので、チエに相談した。
 チエは、ものの10分で「片づけた」。
 真吉は、袋を2つチエに渡した。
 「1個は賄賂か?」「うん。おじさんの好きなあずきバー、多めに入れた。はい、レシート。」
 確かに、レシートより多い商品だ。フランチャイズだから融通が利く。
 チエは、足早に家に戻った。
 午後10時。神代家。
 冷凍庫にアイスを入れているチエに、「何人や?」と神代はそれとなく尋ねた。
 「3人・・・あ。」
 「この頃の『天狗』は、コンビニでアイス買うんやな。また、明日、茂原に嫌味言われるな。」
 全てをお見通しの父親に、衣類を脱ぎ捨て、「ちゃん、抱っこ。」と「おねだり」をするチエは、計算高い、「お嬢」だった。
 神代は、チエを抱っこして、風呂に向かった。あずきバーを食べる自分を想像して。
 ―完―