========== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。チエを「お嬢」と呼んだり、「小町」と呼んだりしている。
 楠田幸子巡査・・・チエの相棒の巡査。
 堂本剛志・・・堂本クリニック院長。
 衣笠温子・・・堂本クリニック看護師。
 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
 白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。

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 チエは、目を覚ました。
 何故か病院らしきところのベッドに寝ていた。
 小町は、すぐにナースコールを押し、間もなく看護師の衣笠が『とんで』きた。
 医師もとんで・・・走ってきた。
 「神代さん、起きた?状況、分かる?斎王さん。」
 チエが戸惑っていると、「この看護師さん、チエちゃんの後輩らしいわ。」と、小町が言った。
 脈や瞳孔を確認した医師は、「だい、じょう、ぶっ!!」と言った。
 「先生、相変わらずやなあ。」と、チエが言うと、堂本医師は、チエの頭を撫でた。
 「人命救助は、立派な警察官の仕事や。でも、民間人やないから、表彰状は要らんな。」
 笑いながら、堂本は衣笠と病室を出た。
 「先輩。小雪さんが、近くの人に助けてー!!」って声かけたんです。」
 チエは思い出した。河原で遊んでいた親子が、ゲリラ豪雨で水かさが増えた為流されたのだ。ミニパトで通りがかったチエは、咄嗟に飛び込んだ。
 どうにか、親子を岸まで運んだのだが、気を失った。
 楠田が救急車を呼んだ筈だが・・・そうか。
 「親子は?」
 「大丈夫や、お嬢。子供は点滴打ったけど、父親は岩で肩を打って、脱臼や。1キロ先の水上病院で精密検査をしてる。」
 茂原の陰から、子供が顔を出した。
 「おねえさん、ありがとう。お父さんが、もう帰るでて言うてるのにグズグズしてたさかいに・・・。」
 「今度から、お父さんのこと、よう聞きや。」「うん。」
 「ほな、お嬢。この子、水上病院に連れて行くわ。」「ありがとう、バラさん。」
 「いつものことや。」笑いながら、茂原は、子供と出て行った。
 入れ替わりに、副署長と、所長である神代が入って来た。
 「今日は、誰もパンツ濡れさ・・・あ。」
 「船越のオッチャン、セクハラとパワハラやで。」
 「ほな、罰を与えよう。コーヒー買ってきて。」と、神代は船越に言った。
 「軽い罰やな。」「パンツ、サラの買ウテやるよ。」と、さらっと、神代は『流した』。
 入り口に、白鳥が現れた。
 「今から、ラブシーンするから、皆帰って。」と、チエが言うと、神代は船越と、部屋の隅の椅子に座って、「いつ開演かな?」と、惚けた。
 白鳥は、ベッドに近寄り、黙ってチエの頭を撫でた。
 チエは、皆に愛されていた。
 ―完―