その後もエリーゼがスライムを探してくれたのでどんどんとスライムを倒していき、討伐証明の核とスライム液を回収していった。
「猟猫がいると早いな。もう30匹倒したぞ」
猟猫って何?
猟犬みたいに言わないでよ。
「本当にすごいわね。使い魔って便利だわ。私も欲しい」
マリーが僕の腕の中のエリーゼを取って、抱える。
この子、たまに僕のエリーゼを盗ろうとする。
「自分で契約しなさい。私はウィルの使い魔なの」
「使い魔と契約って言われてもね……私のレベルでは無理よ」
僕は45もあるからね。
そういう意味じゃないと思うけど。
「確かにエリーゼさんのおかげでスライムの方は順調ですが、ウルフが出ませんね」
アメリアが言うように結構奥にまで来ているような気がするが、ウルフはいまだに姿を見せていない。
「普段ならこの辺で見つかるんだけどな。やっぱり他の奴らのせいかな……マリー、どうする?」
ランディがマリーに聞く。
「こればっかりはね。もう少しに奥に行く?」
「これ以上は町の外だぞ」
「別に構わないでしょ。そこまで町から離れる気もないし、このメンツで苦労することはないわ」
「アメリアはともかく、お前のウィルは?」
僕、マリーのなの?
「私が守る……と、冗談はさておき、使い魔持ちの魔法使いだから問題ないでしょ。ウィルはアルゼリーから馬車も使わずに来たのよ?」
エリーゼに乗ってきたね。
そこで迷子になり、マリーとリサに会ったのだ。
「それもそうか。しかし、そうなると時間がな」
時刻はすでに3時を回っている。
「今日は残りのスライムの討伐に集中することにして、明日にしない? もちろん、明日は休みだし、皆の予定にもよるけど」
「そうするか……俺は予定がないから問題ないが、ウィルとアメリアはどうだ?」
話し合いを終えたランディが聞いてくる。
「僕は大丈夫。勉強してるか錬金術をしているからだし」
「わたくしもですわ。できれば特別実習を早めに終え、座学の方に集中したいと思っています。正直、わたくしは畑違いの科に入ったばかりなのでそちらが厳しいですので」
勉強会も企画しないとな。
「じゃあ、そうしよう。午前中に寮の前で集合な。申請は俺がしておく」
「お願いしますわ」
僕達は予定を決めたのでスライム討伐に集中し、どんどんとスライムを倒していった。
なんとなく、僕も魔法を使ってスライムを倒し、ステータスを確認したのだが、変化はなかった。
僕のレベルが45で固定なのか、それともスライムの経験値ではレベルが上がらないのかはわからないが、ちょっと検証が難しいなと思った。
そして、スライムを倒していくと、4時前には50匹の討伐を終えたので引き返す。
「1日で終わったね」
「私のおかげよ。感謝しなさい」
「よしよし」
エリーゼを撫でると、気持ちよさそうな顔をして、顔を埋めてきた。
非常に可愛い。
「いいなー……」
欲しがりなマリーがエリーゼを羨ましそうに見ている。
「あげないよ」
「ふーん……」
マリーってたまに捕食者な目をするな……
「マリー、魔法科の方の授業は終わっているだろうし、俺はオリアンヌ先生のところに明日の話をしてくるが、どうする?」
特別訓練施設に入口まで戻ってくると、ランディがマリーに聞く。
「私は帰るわ」
「そうか。ウィルとアメリアは?」
今度は僕らに聞いてきた。
「僕達は実習室に戻るよ。まだやってるだろうしね」
「ええ。そうします」
「わかった。じゃあ、今日は解散だ。明日な」
この場で解散となったのでアメリアと共に実習室に戻る。
すると、まだ授業をしていたのでアメリアと席についた。
「回復ポーションは今日の夜から作業に入ろうかなと思っているけど、どうする?」
「良いと思います。分担してやりましょう」
「Dランク以上だったね。大丈夫?」
「大丈夫だと思います。それに失敗してもスライムならどうにもでなりますし、気楽にやりましょう」
それがいいか。
「じゃあ、そうしようか」
僕達は教科書を見ながらおさらいし、授業が終わったので寮に戻った。
そして、夕食を食べ、部屋に戻ると、回復ポーションを作っていく。
「どう?」
作った回復ポーションをエリーゼに見せる。
「Dランク。良い感じね」
おー、できた!
「触媒があると違うね」
「あんたの腕も上がってるのよ」
「そっかー」
素直に嬉しいな。
「ウィル、あの3人と上手くやれそう?」
「うーん……多分ね」
人間性も問題ないと思うし、3人共、良い子だと思う。
「ならいいわ。明日は早いから今日は早めに休みなさいよ」
「わかってるよ」
と言いつつもやはり0時を超えるまで回復ポーションを作っていき、エリーゼを抱いて就寝した。
翌日。
平日と同じ時間に起き、ランディと朝食を食べる。
土曜なこともあり、食堂にいる人が少なかったが、それでも見覚えのある1年生が数人1組で集まっていたので僕達と同じように特別実習なんだろうなと思った。
朝食を食べ終えると、食堂のおばちゃんに頼んだでおいた弁当を受け取る。
なお、その際にランディは弁当を2つも受け取っており、よく食べるなーと思った。
そして、一度部屋に戻り、準備をすると、寮を出る。
「まだ来てないか」
集合場所である寮の前にはまだマリーもアメリアもいない。
「女子は時間がかかるんじゃない?」
まあ、いつもはアメリアの方が早いんだけど。
「そうかもな……ウィル、時間がある時でいいから空間魔法を教えてくれないか?」
「ん? 使えないの?」
マリーもアメリアも使えるはずだ。
「お前ら貴族と違って、習う機会がないからな。空間魔法は1年の後半で習うんだが、今後も特別実習が続くとなると、覚えておいて損はないだろ」
確かにそうかも。
「いいよ。あとで教えてあげる」
「悪いな」
「いいよ、いいよ」
得意の魔法と勉強ならいくらでも教えてあげる。
「代わりに良いことを教えてやる。実習棟の裏に広場があって、そこにベンチがあるんだが、夜に誰かと会う時はそこがいいぞ」
「へー……」
でも、僕、話す人ってランディとマリーとアメリアしかいないんだけど?
