「ばあちゃん!久々〜」
「海晴!天晴も!ありゃ〜あんたらよう来たね〜」

家に着くとリビングに介護用ベットがありそのベットにばあちゃんは横になっていた。
久しぶりに会ったばあちゃんは前に会った時と比べて老いたような気がした。

「ばあちゃん元気そうで良かったよ」
「天晴、ありがとうね 腰以外は元気なんよ」
「良かった良かった ばあちゃん早速で悪いけど俺仕事あるから帰るな」

兄がそう言うと少しびっくりしたような顔をするばあちゃん。

「あんた海晴と美耶子を送ってきただけなんかい?」
「うん、荷物多いし電車じゃ大変だろ?」
「優しい子じゃね〜天晴は。気をつけて帰りよ」
「うん、ありがとう」

兄はそう言うと玄関へと向かい、母さんとも挨拶をして家を出た。俺は見送ろうと兄の後ろをついて行く。するとクルッと振り返り、俺の顔を見るなり笑う兄。

「…なんだよ、その笑顔」
「いや〜良かった海晴が母さんと一緒に帰省してくれて」
「…ぁ〜、そう」
「母さん、ばあちゃんの事苦手だろ?良かったよ、本当に」
「苦手?」
「あれ?お前知らなかったけ?昔色々あったみたいだぜ」
「ふーん」

仲の悪さは知っているが色々あった…というのは初耳だ。その色々…というのは一帯何があったんだろうか…。

「じゃあ、母さんとばあちゃんの事頼むな」
「うん、送ってくれてありがとう」

そう言うと兄はニコッと満足そうに笑って車を運転して帰って行った。
車が見えなくなるまで見送り、田舎の空気を胸いっぱいに吸い、深呼吸をする。なんとなく空気が美味しいような気がした。

「もう!母さん!ここ持って立ち上がってって言ったでしょ!!!」
「あんたそんな事言うてなかったじゃろ、嘘つきな子やね〜」
「はあああ?言いました!言いましたよ!?ここ持ってって言ったら、分かったって返事してたわよ!?ボケてんじゃないの!?」
「まだボケとらんわ!!このバカ娘!」

家の中から聞こえるふたりの怒鳴り声に俺は頭を抱えた。始まった…。母さんとばあちゃんの言い合い…。俺はすぐに家の中に戻った。

「母さん!俺がするから!離れて二人共!」

これからの生活に気が重くなったのは言うまでもない。