雪が溶ける頃に



学校から出た俺は自分のかばんと真雪(まゆき)のかばんを肩にかけ、ふらふらと危なかっしく歩く真雪(まゆき)の姿に目が離せないでいた。
怠そうにふらふらゆっくり歩く真雪(まゆき)
かなりしんどそうだな…息も上がっていて、倒れそうな…。

「…真雪(まゆき)…」

俺は思わず声をかける。

「…ん?なに」
「…あのさ」

俺は男に言うべきか迷ったがふらふらしている真雪(まゆき)に言った。

「…おぶろうか?」
「…は?」

あ…間違えた。
真雪(まゆき)は何言ってんだこいつ?って言うような顔をしている。

「いや、歩くのすげえ、しんどそうだから」
「…ぁ…いや、それは大丈夫
「…だよな、ごめん」

あー、なんかクソ恥ずかしい。
そりゃいくらしんどいからって、男におぶってもらうなんてないよな。

「…でも、ちょっと」
「ん?」

真雪(まゆき)は自身の腕を上げる。

「…腕…掴んでもいい?」

遠慮がちに言う真雪(まゆき)

「もちろん!」

俺は少し嬉しくなって、真雪(まゆき)の行き場を失っている手を掴み、自分の腕に絡めた。
恋人同士が腕を組むように真雪まゆきの指が俺の制服をぎゅっと掴む。

「…ありがと 楽になった」

少し笑った真雪(まゆき)にドクンっと心臓が跳ねた。
ん?今の何だ?俺は自分の胸に手を当てた。

「…どしたの?」
「…ぁ、いや…何でもない。家まだ距離ある?」
「…ぁー、うん あともうちょっと」
「そか、ゆっくりでいいから」

そう言うと真雪(まゆき)は頷き、ゆっくりと歩く。ぎゅっと握れた腕はじんわりと熱くなっていく。俺はきゅっとなる心に戸惑いながらも、その気持ちが何なのか、知りたくなる心を抑えた。