[03] ぎこちない初デート
「おい、手、離すなよ」
「ちょ、ちょっと! そんな強く握らなくてもいいでしょ!」
週末、街中で。良樹と奈穂は手を繋いで歩いていた。
「恋人らしく振る舞う練習だろ?」
「分かってるけど…」
周囲の目が気になって仕方がない。
「お前、映画のカメラの前でもこんな風になるのか?」
「うるさい」
2人はデートらしいデートをしようと映画館へ行ったが、気まずい空気が漂っていた。恋人らしく振る舞うために距離を縮めるはずが、逆に意識しすぎてぎこちなくなる。
上映が終わった後、良樹がぽつりと言った。
「このままだと、ダメだな」
「……何が?」
「お前、感情が乗ってない」
「……」
「本当に恋人だと思って動かないと、映画でも伝わらない」
「……難しいよ」
「だったら、もっと本物に近づけるしかない」
「え?」
「キスしてみるか?」
「はああああ!?!?!?!?」
奈穂の叫び声が、映画館のロビーに響き渡った――。
「おい、手、離すなよ」
「ちょ、ちょっと! そんな強く握らなくてもいいでしょ!」
週末、街中で。良樹と奈穂は手を繋いで歩いていた。
「恋人らしく振る舞う練習だろ?」
「分かってるけど…」
周囲の目が気になって仕方がない。
「お前、映画のカメラの前でもこんな風になるのか?」
「うるさい」
2人はデートらしいデートをしようと映画館へ行ったが、気まずい空気が漂っていた。恋人らしく振る舞うために距離を縮めるはずが、逆に意識しすぎてぎこちなくなる。
上映が終わった後、良樹がぽつりと言った。
「このままだと、ダメだな」
「……何が?」
「お前、感情が乗ってない」
「……」
「本当に恋人だと思って動かないと、映画でも伝わらない」
「……難しいよ」
「だったら、もっと本物に近づけるしかない」
「え?」
「キスしてみるか?」
「はああああ!?!?!?!?」
奈穂の叫び声が、映画館のロビーに響き渡った――。



