約束の恋-良樹と奈穂-

[16] クリスマスの告白未遂
12月。
長浜美彩輝と三谷新斗の提案で、クリスマスパーティーが開催されることになった。
「たまにはみんなで楽しもうって! 良樹も来るって言ってたよ?」
「……うん、分かった」
最近まともに話せていない良樹と、久しぶりに会えるかもしれない。
そう思うと、少しだけ胸が弾んだ。
しかし――
当日、良樹がパーティーに来たのは遅かった。
「……ごめん、編集が長引いて」
時計を見ると、もう夜9時を回っている。
(また映画か)
分かっていた。彼にとって映画は大事なもの。
でも、心のどこかで「それよりも私を優先してほしい」と思ってしまった。
パーティーの後、皆が帰る準備をしていると、良樹が奈穂を呼び止めた。
「……ちょっと話せるか?」
「……うん」
2人で、少しだけ歩く。
吐く息が白くなるほど寒い夜だった。
「奈穂」
「……なに?」
良樹はしばらく黙っていた。
やっと会えたのに、何を話せばいいのか分からない。
「……あと3ヶ月で、この関係も終わるな」
「……」
奈穂は、ギュッと手袋の上から指を握りしめた。
「……ねえ、良樹」
「……ん?」
言おうとした。
「この関係、続けない?」と。
でも、その言葉を飲み込んだ。
(今言ったら、全部壊れそうな気がする)
代わりに、笑ってみせる。
「うん、あと3ヶ月だね」
「……そうだな」
互いの心にあった本当の気持ちは、
そのまま冬の空へと消えていった。