[12] 失われた時間
土曜日。
「ごめん、まだ練習が終わらなくて……!」
スマホを握りしめながら、奈穂は必死に駆け出していた。
約束の時間は、とうに過ぎていた。
「なんでこんな時に限って……」
ミュージカル部の練習が長引き、抜け出せなかった。
やっとの思いで夏祭りの会場に着いた時、すでに花火が打ち上がる音が聞こえてきた。
(良樹、どこにいるの……)
会場を探し回る。
そして、ようやく見つけた。
……だけど、彼の隣には**森下明黎(もりした あかり)**がいた。
(え……)
映画研究会の助っ人として入ってきた女の子。
最近、良樹とよく一緒にいるのは知っていた。
「……遅かったな」
良樹が、奈穂に気づいて言った。
奈穂は、何かを言おうとした。
でも、森下が良樹の腕に軽く触れたのを見た瞬間、言葉が出なくなった。
「……ごめん」
それだけ言って、奈穂はその場を離れた。
土曜日。
「ごめん、まだ練習が終わらなくて……!」
スマホを握りしめながら、奈穂は必死に駆け出していた。
約束の時間は、とうに過ぎていた。
「なんでこんな時に限って……」
ミュージカル部の練習が長引き、抜け出せなかった。
やっとの思いで夏祭りの会場に着いた時、すでに花火が打ち上がる音が聞こえてきた。
(良樹、どこにいるの……)
会場を探し回る。
そして、ようやく見つけた。
……だけど、彼の隣には**森下明黎(もりした あかり)**がいた。
(え……)
映画研究会の助っ人として入ってきた女の子。
最近、良樹とよく一緒にいるのは知っていた。
「……遅かったな」
良樹が、奈穂に気づいて言った。
奈穂は、何かを言おうとした。
でも、森下が良樹の腕に軽く触れたのを見た瞬間、言葉が出なくなった。
「……ごめん」
それだけ言って、奈穂はその場を離れた。


