「やーーっぱ、だめかぁ。……もういっか。…ねぇ、ゆーり。」
「なに。」
誰もいない、教室に向かう途中の、2階の廊下。
「単刀直入に言うね、あの日のあの行動忘れたとは言わせない。あれは何だったの?」
「………っ?!」
静かな廊下に季威の珍しく真剣な声だけが響き渡る。
……あの日のあの行動、そんなの1つしかあるわけないよな。
なんで、今さら聞くんだよ……。
「もういーよ、始業式サボって本当のこと聞かせて。」
「は、」
俺は思わず目を大きく見開く。
季威がそんな事言うの初めて見た気がする。
気がするじゃなくて初めて見たんだ。
季威は一応家の名を背負ってるだけあるのか根はとても真面目な性格をしている。
俺みたいに授業サボるとか、遅刻とかも何一つない。
それなのに……たかがあれが気になるからってサボるか……?
いやまぁ、あいつにとってたかがじゃないからか。
……今思えばかなり悪いことをしたと反省してる。
それでも、あの時はどう頑張っても欲を抑えきれなかった__


