「んー。それは、憂俐のため。」

「……は?お、れ……?」

予想外の答えに首を傾げた。

「うん。簡単に言えばただのかまちょ、だよ。……ずっと、憂俐に迷惑かけて俺の近くにいて俺だけ見てれば良いのに……って。」

「……は、」

「ずっと冷たい対応されてたから、素の俺で接したら絶対離れてくと思って。憂俐がいないとだめです人間作ってたってわけ。」

「………、」

出る言葉もない。

まさか……こうなること、全て計算されてたってことか……?

季威がこんな策略家で、それ以前に可愛いことを考える人だったなんて思いもしなかった。


「ぽかんとしないでよ、俺だって言ってて恥ずいもん。」

珍しく季威は顔を真っ赤に染めて視線を思いっきり逸らした。


「あーあ、まさか季威がそんな考えて行動してたとは。」

「……うるさい。」

拗ねたように唇を尖らす季威が可愛くて仕方がなかった。
……そう思う俺も相当重症なのかもしれない。


……まぁ、でもいっか。

もう俺はこの気持ちを隠す必要もない。
傷つくこともない、保険をかける必要もないのだから。



「ねぇ、季威。俺も一生大好きだよ。」


そんな、目を奪うほどに眩しく輝く太陽と太陽の救いになっていた静かな光を発する月のお話。

                        fin.