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「あーあ、まさか季威がそんなこと考えて行動してたとは。」


なんて感嘆のため息をついたのは、俺たちの気持ちが通じ合って一週間くらいのこと。

きっかけは俺の問いかけだった。



「ねぇ…、季威のその明るい性格って作ってんの?」


ずっと素だと思っていたあの性格が、あの日を境に俺の前でだけ少しずつ変わっていったのだ。


どこがというと、まず一人称が俺になったこと、毒舌になったこと。

そしてかなりの常識人になったこと。

あれからかなり振り回されることが少なくなったのだ。

まぁ……代わりにかなり甘くなった気がするが。


「えーうん。そうだよ?」

当たり前じゃん、なんで英才教育受けてる俺があんなバカじゃなきゃいけないのー?
なんて平然に言う季威にこっちは衝撃を受けてしまった。


「じゃ…っ、じゃあなんでそんな猫かぶる必要があったわけ?お前普通にしてても人寄ってくるだろ…。」

御曹司である、なし関係なく人を惹きつけるような空気を纏う彼のもとにはたとえ、彼が毒舌であってもたくさんの人が寄って来ていたはずだ。

なのに…なんで………?メリットなんてあるはずない。