「また明日ね」

「うい〜バイバイ!」

桃音とあかりとは駅で別れた。ひとりになった途端、無意識でいつもため息が出る。

学校は嫌いじゃない。けれど、これと言って好きでもない。
 
友達がいないわけじゃない。けれど、なんとなく馬が合わないときや、妬んでしまうときがある。
 
好きな人がいる。けれど、絶対に報われないことも知っているから、その先に進みたいとは思わない。
 
どうしてこんな曖昧な気持ちばかり抱えているんだろう。どうしてこんなに、毎日ちょっとずつ満たされないんだろう。私だけなのだろうか? 普通は、身近な人を妬 んだり、友達に線を引いたり、やりきれない恋心を抱えていたりしないのだろうか。
 
考え始めて、私だけが「普通」じゃないみたいで苦しくなるところまでがいつもの流れだ。
 
ため息をつ き、なんとなく落ち込んだ気持ちを抱えながら、私は地元の図書館に向かった。